第10話 生徒会は大忙し!?

テスト明けの月曜日。

どんどんテストが返ってくる。


今のところ数学Ⅰ、公共、英コミュが返ってきて3つとも満足できる点数だった。

ただ意外と平均が高かった。

数学の平均は76、公共は62、英コミュは60。

これは学年平均で、クラス平均は私のクラスが一番高いってどの授業も言われた。

紘夢と武尊の点数が良かったからかな。


今5時間目は古典の時間。

もちろん返される。


「えーこのクラスの平均は80」


80!?!?!?

みんな唖然としている。

80って高すぎるよ……!!


「このクラスは90点台が多かったねえ。まず1位は西園さんで……あ、100点だね。おめでとう」


名前が呼ばれ思わず肩がびくってなった。

……ひゃ、100点……!!

視線が私に集まり、クラスメートも先生も拍手してくれる。


「すごいやん、絵奈」


武尊がなぜか嬉しそうに言う。

さすがに100点はないと思ってた。


「次、2位は塔山くんで97点。すばらしい」


「……よしっ」


小声で嬉しそうに言う武尊。

97点って、十分すごいよ!!!


「3位は加藤さんで96点。よく頑張ったね」


なぜか拍手が小さく聞こえる。

周りを見ると、拍手していない人もいた。

……やっぱり複雑、だな。

彩花ちゃんの方を見ると、そんなの気にしていないようだった。


そしてテストは返され、先生に「すばらしい」と言われ、すごく嬉しかった。


「えーねえ、見てよお」


前の席の莉緒ちゃんが解答用紙を見せる。

点数のところは折って隠してる。

そして、間違いになってるところを指さす。


「ここ、〇なのに何でか埋めちゃった……」


「うわあ、もったいないよそれは」


「これで間違えないでしょ」


「……うん」


見た感じ莉緒ちゃんの間違いは少ない。

休み時間とかずっと頑張って覚えていたんだもん。


「……負けた」


横から紘夢の声。

あ、だいぶ低い声だから不機嫌、かも。

武尊とお互いの結果を見せ合っている。

紘夢は90点。


「まだわからへんって。4枚目やで?あと5枚で決着つくんやから」


「それはそうだね」


2人の間に火花が見える。

やっぱり、ライバルみたいな関係なんだなあ。



放課後。

今日は約束の日だ。


「絵奈、本当に行くの?」


「え?」


鞄を背負って教室掃除のために机を後ろに運んでいた時。

紘夢が私の袖を掴んで言った。


「生徒会のこと」


「あ、うん。そう、だけど」


どうしたんだろう。

何だか行ってほしくなさそうというか、寂しそうというか……


「紘夢、帰るで」


「えっ、あ、うん……」


何か言いたげだったけど、そのまま武尊と帰って行ってしまった。

何だったんだろう……


生徒会室に着いた。

ノックして、「失礼します」と言いながら入る。


「あ、絵奈!」


奥から久しぶりに聞く声。

爽やかな微笑みにきっちり着こなす制服。


「将也先輩」


「テストお疲れ。どうだったの?」


「今のところいい感じです」


「へえ?まあ絵奈だしきっと良いよね」


「え、まだ分からないですよ」


「何、あ、噂の子じゃん」


将也先輩の後ろからひょこっと出てきた二人の男の先輩。

1人はがっしりしてて、もう1人は背が高い。

うわあ、またオーラがすごい人達……


「急に出てこないでよ、ビックリするじゃん。絵奈、こっちのガタイ良いのがあずま弘人ひろと。で、高身長なのが田原たはら勝吾しょうご。勝吾が生徒副会長で、弘人が会計委員長だよ」


「よ、よろしくお願いします」


「噂でよく聞くよ、キミのことは」


背が高い田原先輩がふんわりと笑う。

話し方も何だかのんびりしてるかも。


「何でも俺らに聞いてな」


ちょっと怖そうな東先輩がニコッと笑う。

見た目に反して意外とフレンドリーなのかも。


「早速だけど、そこにいる立川さんと書類作り任せてもいい?俺ら顧問用があってちょっとの間離れないと行けなくて」


生徒会メンバー3人がひょいっとよけると机にパソコンを開いて黙々と作業している女の先輩がいた。

わあ、綺麗な人だ。

黒髪をハーフアップにしてる。


立川たちかわ友里ゆり。もう1人の生徒副会長だよ」


すかさず将也先輩が教えてくれる。


「立川さん、絵奈にいろいろ教えてあげてね、俺らもすぐ戻るから」


「うん」


私をチラッと見てすぐパソコンに視線を移す。


「あーいう感じだけど、本当は寂しがり屋だから」


東先輩がこそっと教えてくれた。


「聞こえてるんだけど、東。行くならさっさと行って」


ぎろりと鋭い視線、

ひっ、何今のちょっと怖い……


「は、はいいいいいっ!!」

「「はいはい」」


東先輩の今の声、すごかったな……

後2人は慣れてるみたいだったけど。

まあ、いいや。

椅子に座って鞄を足元に置く。

そして、乱暴にパソコンが置かれる。


「はいこれ。文化祭準備と当日の諸注意書類。手本はここにあるから。続きやっといて」


「は、はい……」


「それと、これもね」


A4の紙が数枚バシッと置かれる。

第一次企画書、第二次企画書、プログラム……何だかすごい量の資料。


「じゃあ、よろしくねー」


と、笑いながら乱暴に戸を閉められ、出て行ってしまった。

どこに行ったんだろう。

それにしてもこの量はすごいなあ。

こんなたくさんの資料をたった4人で作るなんて……



――よし、やるぞ!!!!

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