interlude
――――数分前。
『つまり、この子にアタシとハル姉さまを空間転移で入れ替えるように頼めってこと?』
魔術師達が倒れる屋上。
通信機からの要請に、ヴィクトリアは首を傾げる。屋上でマリを発見してすぐの通信だった。
『君がその子と話せるというのが本当なら……できるだろう?』
『まー……出来ると思うけどねえ。あの血液の嵐の中に飛び込むのぉ? 他人の魔力で操られた血液なんて、アタシにとっちゃ逆に毒なんだけど。人間でいうところの酸素がないみたいなモンよ?』
『そこを何とか頼む……!』
んー、と二種混血の怪物は指を唇に当てて考える。
マリは既に解放されており、こうして保護できた。元より目的は彼女一人だったのだから、彼にわざわざ協力する義理もない。
『そうだねぇ、んじゃあ代わりに生徒会長サンにお願いしたいことがあるのよさ』
『――っ、僕に出来ることならなんでも……!』
『この子と、それからアタシの市民権を確実に確保してちょーだい。アタシはこの子やハル姉さまを守りたい。アタシの方も権利を保障してくれた方が都合が良いわ』
『分かった。約束しよう』
即答したルークに、ヴィクトリアは口端を上げ、鋭い牙を覗かせる。
『ぎゃは――いいわ、いいわよ素晴らしい! それならば、やってやろうじゃない!!』
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