ロシアにより征服された北海道を取り戻せ! 散って逝った英霊達よ、今こそ立ちあがれ

@vizantin1453

第1話:異変勃発

 令和××年1月1日0000時、航空自衛隊千歳基地にスクランブル警報が発令されるが今回の内容はスケールが違ったのである。

 航空管制塔内レーダー員が何だ、これは!! と叫んで大声で室内にいる者達に知らせる。

「ウラジオストック方面から300機以上の航空機が接近しています! 間違いありません、ロシア空軍です!」

 千歳空港全体に警報が出されてスクランブル要員が一瞬で愛機に駆け寄り僅か10秒で離陸する。

 航空自衛隊次期戦闘機“F-35B”二機が飛び立ったが他に駐機している各戦闘機に出動命令待機を出す。

「一体、何事なのだ? ロシアが遂に攻めて来たのか?」

 千歳基地司令官『空野順平』一等空佐がレーダースコープを見つめながら唸るように呟く。

「司令! 東京にも緊急電をいれました」

「よろしい! 念のために聞くがロシア機が北海道上空まで達するにはどれぐらいの時間がかかるのか?」

「はい、後30分後ですが速度を計測してみるとどうやら戦闘機の類ではないようです。強いて言えば……輸送機クラスかと」

 空野は頭の中でシミュレーションすると嫌な予感としてロシアのシナリオが浮かび上がってきたのである。

「……防衛省に至急連絡しろ! 戦闘機ではなく輸送機の大編隊だと! 奴らの狙いはこの北海道を無血占領する事だと! それと鈴原知事がこの千歳市で後援会と会食する予定があるとの事だから至急、来て欲しいと連絡するのだ」

 その時、スクランブル出撃した“F―35B”から無線が入る。

 その正体は、兵員100名を空輸できるロシア最新鋭の輸送機でしかもその後方にはとてつもない巨大航空機が殿を務めているとの事。

「馬鹿な……あれはウクライナ侵攻の時に破壊された筈なのに? 何故、奴が?」

 それは史上最大の航空機である“An-225 ムリーヤ”である。

 ウクライナ侵攻時に破壊された筈だがロシアはそれを回収して修理すると共に色々と防弾を施して再び飛び立てるようにしたのであった。

 300機の大編隊はF―35Bの警告を無視しながら飛行している。

「警告射撃を実施します!」

 パイロットによる警告射撃が為されたがそれでも針路を変えることなく突き進んでいた。

 管制塔で空野は現在の自衛隊における存在意義にやきもきしていたのである。

「日本は……専守防衛で先に敵から攻撃を受ければ反撃する事が出来るがもし、敵が何もしないで進んできたとしても自衛隊は先制攻撃が出来ない! もし、奴らが空挺部隊でくればいとも簡単に札幌が陥落するぞ?」

 その時、北海道知事『鈴原三郎』が来られたことを空野に言うと直ぐに指令室へ案内してくれと言う。

「知事に防衛出動の命令を出してもらわなければいけない!」

 数分後、鈴原知事と会った空野は耳を疑う言葉を聞いた。

 それは防衛出動は認めないという事で自衛隊は待機するようにとの事でこの件は東京に任せるべきだと言う。

「ふざけるな! 後10分で札幌上空に到達だぞ? あれがこの北海道を占領する部隊を載せていたら大変なことになりますぞ!」

 机を両手でドンと叩くが鈴原知事は険しい表情で空野に言う。

「私は北海道知事です、道民を護る立場にいます! 自衛隊の出動を認めれば戦争になりますよ? そうなれば責任をどうとられるのか? ここは彼らの出方を静観すると同時に道民がパニックにならないようにしないといけません。それではこれで失礼しますが決して動かないでください」

 そう言うと鈴原知事は直ぐに基地を出ていくが見送りする気がなくそれよりも東京からの指示が来たときの為に色々と準備を指示したのである。

 そして遂にロシアの輸送機の大編隊が北海道上空に侵入したが自衛隊は何も攻撃する事が出来なかった。

「くそったれ! あの知事は日本中の知事の中でも一番の親中だぞ? これから起こる事が手に取るようにわかるが何も出来ない」

 鈴原知事の指示で道民が不安にならないように全ての照明を消さないようにと市内に放送していたので深夜でも明るかった。

 そして……札幌上空に達した300機の輸送機から続々と落下傘が開いてそこに合計3万人の空挺兵が札幌大地に降り立つ。

 凄まじいエンジン音に札幌市民は深夜にもかかわらず窓を開けて異様な光景に唖然としたのである。

 同庁に電話の嵐がかかってきたが回線がパンクしたので不通であったが札幌市内全域に緊急放送が流れて何も危険はないから家に入り戸締りをして安心して眠ってほしいと防災無線が流れる。

 札幌大地に降り立った各ロシア兵は北海道警察本部及び各交番を奇襲して手中に収めるが反抗した警察官は無残に殺されたのであった。

 そのまま3万人のロシア兵は各市の重要施設を制圧してその本隊が同庁にやってきて鈴原知事に降伏勧告をすると知事はそれを受け入れる。

「道民の安全の為に一切、抵抗しません」

 その言葉にロシア軍指揮官は笑みを浮かべて頷くと北海道議員を全て参集するように命令すると鈴原は頷いて一時間以内に参集できますと答える。

 その間、札幌市内を掌握したロシア兵は半数が引き続き石狩市に向かっていく。

 一時間後、石狩市長が鈴原知事の説得で全面降伏して全権を渡す事になると共に鈴原の説得によって何と飛び地になるが七割の市長・町長・村長が降伏勧告を受け入れる。

 そして一夜が明けた時、北海道元知事『鈴原三郎』は北海道独立宣言をして国名を“北海道人民共和国”の設立を発表したと同時にロシア・中国を始めとする親ロシア各国がそれを認可する。

 鈴原臨時首相は防衛の為にロシアとロシアの同盟国である中国に人民解放軍とロシア陸軍の進駐を要請して両国は直ちに承知してあっという間に人民解放軍数万人が輸送機で落下傘で降り立つ。

 続々と中国とロシアからの兵器が上空から空輸されていくが自衛隊は未だに反撃が出来ないばかりか防衛出動も出来なかったのである。

 それは東京でも大混乱が国会で起きていたからであった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る