第6話 緊張

今日は転職先の初日出勤。

俺の他にもう一名、同じように採用され誰かも緊張しているだろうな。


香山は指定された時間より

早く新しい職場の駐車場に着いた。


以前勤めていた工場が危なくなり、周りの身辺整理が慌ただしくなってるのを見て退職を決断。


独身だし、なんとかなる。

それなりの蓄えもある。


酒、煙草はやらない。

ただ働いて、出社し、定時にきちんと帰る。

長年それを規則正しく繰り返しただけで、例えしばらく無職になっても生活には困らないくらいの貯金もできた。


どうしよう

悲観する時もあったが

運良くこうして短期間で仕事を見つける事ができた。少しばかりかもうちょっと自由な時間を満喫しても良かったのだが…。


それは


この極度の緊張を後回しにするため。


昨夜は一睡も出来なかった。

というより、採用が決まってからほとんど寝てない。


眠気はない

強烈な緊張が眠気を奪いとってる。  



早く今日一日終われ…


初出勤日に願うのはそれだけだ。




30分早いが

行くか


いや


15分前に




と考えてるうちに 身体は緊張のあまり工場の事務所へと動いていた。



もうひとりの採用者、もう来てるかなと思いつつ香山は守衛さんに案内されて事務所へと吸い込まれていった






 

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