第22話 買い物でぇと 意識編1
謎な女子、木ノ本みのりとの出会いによってキイとはますます険悪な状態になりつつある中、カナはコスプレに目覚めたらしい。
「そんなわけで、行くぜ! でぇと!」
「デート……え、何しに」
「でぇとはでぇとじゃないか~! でぇとはお互いが楽しめればいいし、それが目的なんだぜ!」
――と言いつつも、来た場所は何故かコスプレショップだったりする。俺一人だけではほぼ訪れることが無い店なだけに、あまり居心地は良くない。
しかし、
「すばるくーん! こっちこっち!! こっちで着替えるから近くにカモーン」
「わ、分かったから大声出さないで」
「生着替えなあたしが見れるんだから、早く来いやぁ~!」
などなど、もの凄く嬉しそうなのでここは保護者目線で過ごすことに徹する。
「すばるくん、コレとこれ。どっちがせくしぃ?」
「……ど、どっちも目のやり場に困るんだけど」
「ほほぅ? すけべくんの視線はこっちのモフモフの方なのだね? 理解したよ」
「う……」
カナは先日バーサーカーになりきった格好を披露した。しかし俺の反応を見た直後、カナは落胆して俺に説教を始めた。
説教の内容はというと、本来なら俺が帰る度に俺が好きそうなヒロインコスプレで出迎える予定があった――ということらしい。
だが俺の反応がいまいちだったことは予想していなかったようで、
「ええい、まさかすばるくんがそこまで薄い反応を見せるなんて思わなかった! がっかりだよあたしは!」
「そんなこと言われても……」
「これはアレだ! 目の前で興奮したいって意味なんだね!? こうなったら、すけべくんのために一肌脱いでやるぜ!!」
――という謎の逆ギレがあり、今に至る。
正直言えば、カナは美少女な部類と言っても間違いじゃない。ただ想定以上に活発なお姉さん過ぎるせいで、いわゆる意識する状態になりにくくなっているというのが今の位置。
色気は十分すぎるし人目を惹く存在なのは違いないが……。
「おおぅ、すばるくん~! そこにぶら下げといたやつ手が届かないから取って~」
「んー? って、下着はさすがに面倒見れないってば! 自分で取ってくださいよ」
「何だい下着くらいで! ただの布切れなんだぜ? ひょいっと手で取って渡してくれるだけでいいじゃないかよ~! このすっとこどっこい!」
「そこはもう少し恥じらいを持った方がいいと思うけど……」
俺の中ではまだ、カナをそういう感情で見れていないのが問題だ。だからといって何をどうすればカナを意識するようになるのかって話になる。
そう思っていたところに、シャー。と薄いカーテンが引かれる音が聞こえた。
何気にそこを見ると立っていたのは、
「どうかニャ? すばるくん。似合うかニャ?」
「な、何で猫耳つけて、猫言葉を……?」
「むふふ。すばるくんが好きそうなヒロインは全て学習済みニャ~! どう? どうなのニャ?」
「…………」
何でこんな格好をしてるだけなのに、いつもよりも意識するのだろうか。コスプレをしてるだけなのに……。
「えっと……か、可愛いと思う」
「ふんふん? すばるくん的に当たりなのだね?」
「ま、まぁね」
俺の言葉に対し、カナはまたカーテンを閉じて中でまたゴソゴソと動き始めた。何とも言えないけど、俺の反応でも楽しむつもりがあるのだろうか。
「次も楽しみに待つのだ、少年!」
「あ、うん……」
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