ダイブ
『スキル【
ぼ、僕が、魔物になっているぅ?
『【
つまり、今、この蝙蝠の身体は、僕の支配下にあると考えてよいのか。
『【
地面に、力なく横たわる僕自身を見て、その
敵が複数いる状態で、このスキルを使うのは危険だろうな。
て、いうか、元に戻るには、どうすればいいの。ず、ずっと、このままって訳じゃないよね?
『元の身体に戻る場合は、「ダイブ・アウト」と唱えて下さい』
いや、この体じゃ、唱えられないんですけど?
『目を閉じ、強く念じるだけで大丈夫です』
ホッ。この先、ずっと蝙蝠として生きていかずには済みそうだ。
魔物以外にも、ダイブできるの?
『対象が生物であれば、【潜入】《ダイブ》可能です』
人間にも?
『ハイ。ただし、一度【
そうなのか……。
ならば、<ダイブ・アウト>のタイミングには、慎重を期す必要がある。
命の危険というのなら、昨日、グレンに刺されて、穴に落とされる前に、出てきてくれてもよかったのに。
僕の不満に、
『あの落下で死亡する確率は、2パーセント未満でした』
『ハイ。加えて、
ルースに掛けてもらったヤツか。それがなければ、おそらく即死だっただろう。
また、命の危機に晒されたら、
できれば、二度とそんな体験はしたくないけど。
『一つの条件につき、助言を付与できるのは一度だけです。再び、同様の条件を満たしたとしても、助言付与は行えません』
つまり、今度、死にかけても、自分で何とかしろという事か。
結構、厳しめの
他には、どんな条件があるの?
……。
無視かよ。【
……。
……。
ダメだ。もう、どこかへ行ってしまったようだな。
ミュウが、ふしぎそうな顔で、僕をじーっと見ている。
わかるか? ミュウ。僕だよ。
「にゅぁ?」
ミュウは、首を傾げるだけだった。
ただ、よく考えたら、この状況、まだ完全に危機を脱したワケじゃないよな。今、元の身体に戻ったら、また襲われてしまうだろう。
しかも、この蝙蝠への再度の【
どうする……て、いうか、飛べるのかな、コイツ?
僕は、大きな翼を広げ、羽ばたいてみる。お、浮いたぞ。さらに強く羽ばたく。
スゲー、飛べた!
僕は、うれしくて、洞内をぐるぐると飛び回ってみた。
「みゅおぉー!」
ミュウは興奮したのか、両手を挙げ、ぴょんぴょん飛び跳ねている。
て、待てよ。ここから、出られるんじゃないか?
僕は、地面に横たわる、僕本体の傍に着地する。蝙蝠の足で、僕の両手首をガッチリと掴んで、そのまま羽ばたいた。
うおおおぉッ!
……お、重い。
上昇しようと試みるも、思い切り下へ引っ張られる感覚だ。本体の僕の足先が、地面から離れるくらいのタイミングで、落っことしてしまう。
や、やべぇ。
慌てて、僕本体の身体を確認する。どこも怪我とかはしていないよな。
どうやら、この魔物、重いものを持ち上げる力はないらしい。もし、かなり高い所まで上昇し、うっかり落としたら……、想像すらしたくない。
脱出は、難しそうだ。リスクが大きすぎる。けど、外の様子を見に行くだけなら、可能だよな。
ミュウ、ちょっと出かけてくるぞ。
「んお」
通じたのかどうかは、よくわからない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます