第8話 人間と病気

「病気って何であるのだろう!」


 病気になった人たちはもちろん、家族や友人が病気になっていっしょに悩んでいる人たちも、病気について、様々な思いをもっている。


 治療方法のない不治の病や難病と呼ばれるものや、命にかかわる重病などは、ことのほか、人間にとっては辛いものにちがいない。


 そうは言っても、人間だけでなく、犬が風邪をひいたり、ニワトリが鳥インフルエンザにかかったり、キュウリがうどんこ病にかかったりすることはあるけども、それで将来のことを悲観したり、痛みや苦しみによって苦悩したりするってことはないように見える。


 まあ、はっきり、断言できないのは、かつて、サーカスの像が、曲芸がうまくできず悩んでいたのを見た人がいるという話を読んだことがあるので、病気に悩むネコがいるかもしれないからだ。


 だが、それが実証されたという話は聞かないので、そもそも、人間だけが肉体と精神の両方にダメージをくらうのが本当の意味での病気って言っていいだろう。


 つまり、まぎれもなく、病気というものは、百パーセント人間あっての出来事で、人間がいなければ病気もないといっても言い過ぎじゃない気がする。


 人間がいるからこそ病気は宿主としての人間に寄生しその本領を発揮するんだ。


 しょせん、われわれ、人間がいなければ、彼らは成り立っていかないはずだから、人間がいなくなれば病気に居場所は無くなるってわけだ。


 だから、われわれ、人間は病気くんたちに言いたい。


「お前らは、人間様がいなかったら手も足もでないだろう!だれのおかげで存在していられるか分かってんのか!あまり調子に乗って人間様を苦しめるんじゃあないぞ!俺たちがお前たちに付き合ってやってるんだからな!俺たちがいなくなればお前たちも終わりなんだぞ!だから、ほどほどにせんかい!」


 あーっ、すっきりした。

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