第46話 真夜中→夜明け
レイチェルとの会話は楽しかったが、きちんと確認したいことがあった。
「えっと……そろそろ……返事を聞かせてくれないかな?」
このまま有耶無耶になるのは嫌だったので俺は話題を戻す。
「えっ?」
レイチェルは何のことか分かっていないようだった。
「その……告白の返事が聞きたいんだ……」
俺は恥ずかしさに耐えられず、視線を逸らした。
直後、レイチェルの溜息がつく。
「だから、アレックスは童貞なんだね」
「急に刺さないでくれるかな!? 俺はありったけの勇気を出して……!?」
文句を言う俺は途中で言葉を止める。
というか、しゃべれなくなった。
だって、レイチェルが俺を押し倒して、キスをしたんだ。
「――これで分かる?」
レイチェルは恥ずかしそうに言う。
「良い、ってことだよね?」
俺がそんなことを言うとレイチェルはまた溜息をついた。
「まったくもぉ……どうしても私に恥ずかしいことを言わせたいんだね……」
「ご、ごめん。その……レイチェルと俺じゃ、やっぱり釣り合わないと思っちゃって……」
「そんなことないよ。アレックスは私のことを救ってくれた。私にとって、アレックスは英雄、だよ。…………一回しか言わないから、ちゃんと聞いてね」
レイチェルはそう前置きをして、深呼吸をする。
そして、真っ直ぐに俺を見た。
「私もアレックスのことが好き。大好き。これからもよろしくお願いします。私はアレックスと一緒の人生を歩みたいです」
言い終えるとレイチェルは俺の胸に顔を
「恥ずかしくて、アレックスの顔を見れないよ…………これで満足?」
俺の胸に顔を
「は、はい、あ、ありがとうございます」
「どうしたの、そんなにかしこまっちゃって?」
「う、うん、そうだね」
「変なの」
レイチェルは笑い、さらにピタリと俺にくっついた。
「……ねぇ、今日は告白して、キスして、ハグして、それで終わり?」
レイチェルの声は緊張していた。
俺はレイチェルを抱き締める。
「ううん、俺は終わりたくない……」
「うん、私も終わりたくない……」
お互いの鼓動がとても速くなっているのを感じた。
「えっと、じゃあ、テントの中に…………」
「テントは狭いよ。……ここじゃ駄目?」
レイチェルを俺の胸に
「…………」
こんな外で!? …………とは思わなかった。
レイチェルの羞恥や興奮が混ざった表情を見て、俺の理性はもう限界だった。
今度は俺がレイチェルを押し倒す。
俺がそんなことをすると思っていなかったのだろう。
レイチェルを驚いていた。
でも、次の瞬間には微笑む。
「空が綺麗だよ…………」
仰向けになったレイチェルが言う。
「ごめん、空は見えないや」
だって、俺はレイチェルに覆いかぶさっていたから…………
「そうだね…………ねぇ、今度はアレックスからキスをしてよ」
「お、俺から?」
「私、まだ一回もアレックスからキスをされていないよ。憧れているの。好きな人からキスをしてもらう展開」
レイチェルは目を閉じた。
「するの初めてだし、凄い下手だと思うよ」
「上手いか下手かじゃないよ。私はアレックスにしてほしいの」
「…………うん」
自分の唇をレイチェルの唇に近づける。
触れた瞬間、レイチェルはビクンと体を震わせた。
一度、唇が触れてしまうとその気持ち良さで、緊張はどこかへ消えてしまう。
「っ…………!」
レイチェルの口内へ舌を入れると彼女は俺の背中に両手を回して、ギュッと抱き締めた。
それだけで終わらず、今度はレイチェルが俺の口内に自分の舌を入れて来る。
長い長いキスが終わった時、レイチェルの顔は耳まで真っ赤になっていた。
「アレックス、容赦なさすぎ…………もうクラクラだよ…………」
「ご、ごめん、大丈夫?」
「まだ大丈夫。でも、この先はどうかな?」
レイチェルは照れ隠しの笑いを浮かべながら、俺の服を脱がす。
「次はアレックスが私の服、お願い…………」
「うん…………」
レイチェルの服を脱がそうとするが、緊張してボタンを外すのに手間取った。
「ご、ごめん、手際が悪くて……」
「気にしないよ。それに一番上のボタンが外れたから、こうやって脱げるよ」
レイチェルは背中を向け、両腕を上に向けた。
「アレックスが私の服の中に手を入れて、脱がさせて…………」
「わ、分かった」
その姿に俺の興奮は増す。
それでもまだ辛うじて理性は残っていた。
慎重に、優しくレイチェルの服の中へ両手を入れる。
レイチェルの素肌に触れた。
なんの引っ掛かりも無い滑らかで触り心地の良い素肌だ。
「んっ……!」とレイチェルの吐息が漏れる。
俺はゆっくりとレイチェルの服を上げ、脱がせていく。
彼女の白く奇麗な背中が露わになった。
レイチェルは振り返りながら、胸を両手で隠す。
「あはは、隠すなんて変かな? これから全部、見せるのにね」
レイチェルはちょっとふざけた感じで言ったつもりかもしれないが、羞恥を隠せておらず、その姿はさらに俺を興奮させた。
「レイチェル、下も良いかな?」
「うん……」と言いながら、レイチェルは腰を浮かせた。
俺はさっきよりも円滑にレイチェルのズボンを脱がせる。
「なんか、アレックスに主導権を取られっぱなしだなぁ。…………今度は私がやるね」
レイチェルは両手を俺のズボンに伸ばす。
その瞬間、レイチェルの胸を隠すものは何もなくなった。
「なんだか、視線を感じるなぁ」
レイチェルは恥ずかしそうに言う。
「ごめん、目が逸らせない」
「もぅ……。よっと」
レイチェルは俺のズボンを脱がせ、「あ……」と声を漏らす。
まぁ、こんな状況なので当たり前だが、レイチェルがまた「アレックスの、アレックスが、アレックスしてる!」とか言うと思った。
「こ、こんなの入るのかな……?」
俺の予想と反して、レイチェルは不安そうに声を漏らす。
「えっと、多分?」
したことが無いので正直分からない。
「出来るだけ優しくしてね…………」
レイチェルは仰向けに倒れる。
彼女はもう何も隠さない。
「ど、努力する…………」
「でも、やっぱり怖いから、もう一回、キスして」
「分かったよ」
俺とレイチェルはまたキスをした。
気持ちが際限なく高まっていく。
そして、俺とレイチェル、お互いの体が重なる。
良く聞こえていたはずの川や森の音は何も聞こえなくなった。
俺もレイチェルも夢中だった。
俺はレイチェルしか、レイチェルは俺しか見えていなかった。
互いの体が一つになってしまったのではないかと思うほど、抱き合い、密着し、求め続けた。
どれだけの間、互いを求めたか分からない。
疲れ果て、理性が戻った時、辺りは薄明るくなっていた。
俺は放心状態のレイチェルの手を握る。
「もう手を繋がなくても大丈夫だよ……?」
「必要だから手を繋ぐんじゃなくて、レイチェルに触れたいから手を繋いだんだよ。嫌だった?」
「嫌なわけないよ。嬉しい。アレックス、これからも一緒だよ。もう放さないからね」
レイチェルは俺の手を握り返す。
「当たり前だよ。俺だって、もう二度とレイチェルを放さない」
俺とレイチェルはそんなことを誓い合った。
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