へクセ───レネディール最後の魔女

冬青ゆき

序章

『あんたさァ…美人だからって調子に乗り過ぎじゃない?そういうのムカつくんだけど』


『調子に乗んじゃねーよ、このアバズレが!』


『あらあら泣いちゃう?これくらい、大丈夫よねえ。誰かさんはイジめられたって、男が味方してくれるもんねえ、アンタみたいなのは社会の迷惑だから、首吊って死ね。分かった?糞ビッチちゃん♡』


ああバカらしい。美人が得だなんて一体何処の誰が言い出したんだろう。

調子にも乗っていなければ、女の武器とやらも使った覚えもない。

くだらない嫉妬を押し付けるくらいなら、自分自身を磨くことに時間を使え!

今に始まったことではないけれど、身に覚えのない嫉妬や嘲笑を浴びるのは、もうウンザリだ。

だって、今までの人生で美人だからと物事が優位に働いた試しなんぞ、只の一度もないのだから。


下らない悋気でパワハラする同僚と上司に翻弄された挙句に仕事を失ったエマは今、人生史上で最高に疲弊していた。

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