4章 夢現症候群 side凛花

第1話  誓い  side凛花

蒼たちが事故に遭ってから2週間。未だに2人は一向に目を覚ます様子がない。

そんな中、私──朝陽凛花は、今日も蒼の看病をしている。

「蒼」

呼びかけてみるけど、返事はなかった

「ッ──── 」

いつものことだが、やっぱり辛い。

だがこんな所で負けていられない。あの日、蒼を何としてでも助けると誓ったじゃないか!

「待っててね、蒼。これから、私が原因について調べて解明してみせるから!」

私は蒼にそう宣言して、まずは医者の元へ向かった。

「失礼します」

私はノックをして、診察室へ入った。

「はい…?なんでしょ…って朝陽さんでしたか。あれから霧野くんは目を覚ましましたか?」

「いえ、まだです。今回は、その蒼たちの件について話を聞きに来ました。」

「ほぉ…?分かっている事は全て話しましたが?」

私は医者の白々しい顔を見て、前回は一部嘘を言っていることを確信した。その瞬間、猛烈な怒りがわいてきた。だが、ここで問い詰めるのは悪手だ。ここで証拠がないことを理由に、逃げられてしまうと困る。気持ちを落ち着かせて、私はこう言った

「そうですか。のならいいんです。また何か分かったら教えて下さいね。」

「ええ、分かっていますよ。」

「それでは、失礼しました」

「お大事に」

さて、まずはこの病院が隠していることについて調べるとしようか。

「いきなり蒼の情報集めたい所だけど…でも多分無理だから、瀬川さんのご両親から瀬川さんの方の病気について聞いてみよう」

そう思って、私は瀬川さんと蒼のいる病室へと向かった。




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凛花が診察室室から出ていった後の医者の話



「はぁ…あんなに必死になっている人に嘘をつくのは流石に心苦しいな…もし、証拠を持ってきたらどうしようか…その時は潔く認めようか。これ以上はかえって彼女を苦しめるだけだ」


そんな決意をする医者だった





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瀬川さんのご両親は、瀬川さんのベッドの両サイドにいた。私は、話しかけてみることにした

「すみません」

「はい…どなたでしょうか…って朝陽さんですか。この度はあなたの幼馴染を巻き込んでしまって本当にごめんなさい」

「いえ、気にしてないといえば嘘になりますが、起きてしまったことはどうしようもありません。ただ、その代わりに瀬川さんの病気について詳しく話してくれませんか。本当のことを知りたいんです」

「そんな覚悟があるのなら、言われずとも。私たちの娘──紅は、夢現症候群なんかじゃありません。本当は…夢幽閉症むゆうへいしょうなんです。」

「夢幽閉症?」

「はい。それは夢現症候群に酷似した別の奇病のことです。治療法は──── まだ1つも発見されておらず、この2つの決定的な違いは途中で現実に帰って来るか来ないかです。」

「それは…どういうことですか?」

「夢現症候群は本来、途中で目は覚めないんです。ですが、あの日は紅は学校へ行けていた。それがそういうことです。」

「ちょっと待ってください。さっきから症例が瀬川さんのだけじゃないですか…他にも患者は居るでしょう?」

私は嫌な予感を感じながら聞いた。頬を嫌な汗が伝う。すると、彼女の父親が言いづらそうに口を開いた。

「夢幽閉症…それに世界で初めてなったのが──── 紅です」



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だんだん全貌が分かってきましたね。次回はまた、火の迷宮攻略へ戻ります

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