あの世行き電車の一幕

電車の向かいの席に、年の離れた姉弟が寄り添って寝ていた。お姉さんが先に起きて、私と目が合った。

「よく寝た?」

「ああ、まあ」

「弟さん、可愛いわね」

「……海に行きたかったんですよ」

「そう」

 

「死ぬ前に、見せたかった」

私は、苦しそうに言うお姉さんを見つめた。

……途中下車ね。

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