第39話 パーティーの開始

定刻通りにパーティーは始まった。


テーブル席は全部で10席あり、大地の家族三名とひとみの母親の明子、そして、幸雄の弟の幸二を入れて5名のみが招待席となっていた。


大地を除く4名は自分達が場違いな所にいるのではないかという緊張で、なかなか食事が喉に通らなかったようであった。


食事が終わりかけた頃、司会者は田村を壇上に呼んだ。


そして、野球評論家等から質問タイムがあった。


最初はごく簡単な質問で、田村も笑って答えていたのだが、最後に久米が次のような質問をしてきた。


「田村さん、ホームラン王、おめでとうございます。ところで、最後の打席でどうして敬遠のボールを打たれたのでしょうか? やはり、ホームラン王をねらいたかったからですか?」


田村は少し苦笑いをして、

「そうですね、それもあるかもしれません」


「普通あの場面だったら、個人的な記録よりチームのことを考えるのが当然ですよね?」と久米が言うと、


「確かにおっしゃる通りです」

 田村は少し辛い顔で言った。



それを聞いていた、幸雄と幸二は久米の質問に対し、怒りを感じていた。



その後、久米は続けて、

「以前、確か田村さんは病気の子どもの見舞いへ行かれていたようですが、今は有名になられたようなので、行く必要がなくなりよかったですね」

と皮肉を言った。


それを聞いた幸二は立ち上がると、

「ちょっと待って下さい。あんたは田村選手のことを何もわかっていないよ。俺が間違った記事を書いたばかりに、田村選手に迷惑をかけてしまったんだ」

と幸二は言った。


「どういうことなのか、説明をしていただけますか?」

と久米が幸二に聞いた。 

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