間話 ずーっと見ていたい星

 それは、キャットマイルドと戦った後の事。

 ミリルは一度父の許へ戻るといい、見たことがない、傍仕えの者と、ルーと

いう幼竜と一緒に、故郷へ戻った。

 ルーを見るのは初めてだが、親近感が沸く。名前が似てるからか? 

 パモは元気になって、いつも通りパモパモしている。

 俺にとって最高のもふもふだ。

 真奈美はマーナという名前を貰ったらしい。


 「こっちの世界っぽくていいじゃないか?」って言ったら喜んでいた。

 俺が受け止めた呪縛で、悪い夢は見なくなったようだ。

 ココットは相変わらずだ。ずっと「ココットー!」と言っている。

 こいつ兵器なんだよな。パーツが見つかると、大きく変わるのかな。


「なぁメルザ。今日はいっぱい話をしないとな」

「ああ。俺もいっぱいいっぱいルインの話を聴きてーな」

「ぱみゅー!」

「この国だとまだ危険かもしれないし、船に乗ってトリノポートを目指すか」

「ああ、それなら」


 ――そう言うと、メルザは俺の手を引き、海辺あたりまで引っ張られる。


「パモ、頼む」

「ぱみゅー!」


 もにょーんとでかいオブジェクトの物が出る。

 そうでした。パモさんは最高でした。


「これって……トラウマが……」

「だいじょぶだ、俺様が操作するから、その……後ろから支えててくれ!」


 メルザの用意した風斗車に乗る。乗り始めて直ぐ、メルザを後ろからぎゅっと

支えてやる。すると……あれ、ちょっと揺れが激しいんですけど。メルザさん! 


 ――風斗車に乗って数時間でトリノポート付近まで来た。

 船より何十倍も速い。波の影響も受けない。

 周囲は少し暗くなりつつある。空を見上げれば無数の星が見え始めた。


「なあメルザ」

「なんだ? もうちょっとで着くぞ」

「お前は俺の主で、誰よりも大事な存在だ。そんなメルザが、俺は好きだ」

「ば、ばか。今そんなこと言って、ずるいぞ! その……俺様だって。その

……好きだ」

「よかった。さぁ帰って色々話するぞ!」

「ああ!」


 夜空は絶え間なく光を放ち、二人の道筋を祝福しているかの様だった。

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