ひょいぱく

 夕食中での出来事。


 てんはが栗の甘露煮を食べようとして、入れ物から取り出すのに失敗して栗がころんとテーブルに転がった。

 あー、と感嘆が上がる。


「落ちちゃったねー」

 ソウが箸でつまんで、ぱくっ。


わたし「!?」

クオン「!?」

てんは「!?」


 食べるかそこで?

 そんな空気が流れた。


「食べた~~」

 嘆くてんは。

「今のは、取ってあげててんはにあげる流れだったよね」

 クオンとわたしがつぶやく。


 ソウが笑いながら新しい栗を取っててんはのお皿に入れたけど、取った~と言われるまで絶対自分が食べたのは自然だと思ってたよね(笑)。

 空気の読めない男である。

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