第37話 遠出④

 皇居東御苑に入り江戸城本丸跡を見に行くため、歩いて大手門から入る。

 

 現在の門番は皇宮警察の警察官だ。

 皇宮警察官は皇族を守るために存在する国家公務員で、皇居や地方の皇族専用の静養所等にしか居ないため数が少なくレアな存在だ。

 普通の警察官との見分け方は、皇宮警察官の制服の肩ひもが赤いところだろうか。




 橋のたもとにある詰所の様な所で立番している警察官を横目に奥へ奥へと入って行くと、途中に自分の身長を越える様な大きい石垣等がある。

 この石垣に触ってサイコメトリー(残留思念感応)をしたら面白そうだと考えたが、その様子を見た澪が俺の事を不審に思うと困るから止めておいた。

 更にタイムリープ(時間移動)も一瞬考えてみたが、過去へ飛んだ瞬間に武士に見つかってバッサリと斬られたりしたら死んでしまう。

 いくら俺が治癒能力を使えるからといっても、即死する程の大怪我を治した事は無いから絶対に怖くて出来ない。

 

 澪と手を繋いでいる気恥ずかしさを誤魔化すためにそんな事を思いながら歩いていたら、かなり広い芝生のある所へと出た。


 「広いわね、ここは本丸と大奥があった場所らしいわ。

 更に奥に見えるのが天守台みたい。」


 手を繋いでいない左手でスマートフォンの地図を見た澪が教えてくれた。


 「じゃあ天守台に行こう、登ってみたい。」


 俺が澪の手を引くと、彼女は


 「そんなに急がなくてもいいじゃない。

 …良かったわね、貴方、とても嬉しそう。

 今日はカチューシャをしてるから表情が良く判るわ。」


と微笑んだ。  


 「そうか…俺は自分では気付かなかったが、はし   ゃいでいるのかもしれないな…

 こんなに楽しく過ごせるのも全ては澪のお陰だ、本当にありがとう。」


 普段からあまり笑う機会の無い俺が、澪に対して自然と笑顔になるのが自分でも判る。


 「まだ今日は始まったばかりなのに、とても貴重なものが見れたわ、私としても本当に嬉しいの。」


 澪は急に俺から顔を逸したので表情は見えないが、耳は赤くなっている。 


 「何かそんなに貴重な物があったのか?

 見逃した、俺にも教えてくれ。何処にある?」


 澪が見ている方向に何か貴重な物があるのではないかと俺は同じ方角に顔を向けながらキョロキョロとしつつも2人で暫く歩いた。




 俺達は天守台に着いた後、大きな石を仰ぎ見て、昔はどんな天守閣があったのだろうと2人で話しながら階段を登り切ると、天守台の中央にはベンチがあり、そこに黒いパーカーのフードを目深に被った者が腕を組み、独りで座っていた。


 

 

 


 

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 この小説は、ラブコメで行くか、自身初のファンタジー系で行くか悩んだまま方向性を決められず、そのまま放置してしまいました。

 取り敢えずファンタジー系に挑戦してみようと思いますが、途中でストーリーや設定等がグダグダになったり、遡って書き直したりする可能性が大です。

 本当に申し訳ありませんが、生暖かい目で読んでいただけるとありがたいです。

 読んでいて何かおかしいな、と感じた時はご連絡ください。

 それと、場合によってはifとしてラブコメ編も書くかもしれません。

 その場合は丁度このページから分岐すると思います、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

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