20。

 大学二年生。兄さんの妹のお姉さんです。うん、少し落ち着いたよ。

 ごめんね。

 ……いっぱい話したいことあるんだけど、よく考えてみたら寝起きだもんね兄さん。いっぱい話されると疲れちゃうと思うから、短めで。

 まぁでも長くなっちゃう気がするけど。

 だって今日で……二十歳になりましたー!

 だからお酒用意してみたの。

 あ!

 今、「でもどうせサークルの打ち上げとかで飲んでるんだろ」って顔したでしょ!?

 飲んでません~!

 私ってば可愛くて真面目な良い子なんだからね!

 だから、今日が初めて。ほんとだよ?

 いや高校生の頃は、お酒ってなんかちょっとかっこいいな~って言ってたけど。

 そういえば兄さんも興味ありそうだったよね。

 話してたらお母さんに怒られたっけ。えへへ。

 でもでも、ワインとか、すっごいお洒落な感じだし憧れてたんだ。だから、ほら! 記念にワイン買ってみたの!

 バイト代で!

 ちなみに大学入ってからバイト始めたの。何だと思う?

 …………ぶっぶー! 正解は、家庭教師です!

 今どうせ失礼なこと言ったでしょ。もう!

 だから私は今、先生なのです。

 妹で、お姉さんで、家庭教師の先生って、属性重ねすぎでしょ。

 あ、そうだ兄さんの勉強も私が見てあげようか?

 なんて、兄さん勉強得意だもんね、私が逆に教えられそう。

 それはさておき、お待ちかねのワインの時間です!

 嬉しそうだって? 分かる? お姉さんはそれはもうどんな味なのか楽しみで楽しみで仕方ないのです。

 どれくらい楽しみかというと人生で二番目に楽しみでした。

 あ、グラスも、ほら!

 兄さんの分もあるから!

 ほらほら! どう? かわいいでしょ?(ワインをグラスに注ぐ音)

 じゃあ、誕生日おめでとう!

 乾杯!

 あ、でも兄さんはまだ未成年だったね! いや~一緒に飲めなくて残念だな~!

 えへへ、私、これで大人だよ。

 じゃ、いっただきま~す。

 …………んう。

 わ、ワインってこんな味なんだ。

 へ、へー思ってたのと違う――


  動画が切れ、次が始まる。

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