トムとライラの道中記 ~挫折ヒーラーとウェアウルフ少女の物語~

矢木羽研(やきうけん)

読書ガイド

※この文章は、本作を読もうかどうか迷っている方のために、どのような小説であるのかを解説するものです。多少のネタバレも含まれるので、純粋に興味を持った方は先に本編を読むことをおすすめします。


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どのような舞台?


 いわゆるRPGなどでよく見られるような、中世ヨーロッパ風ファンタジーです。剣士や魔法使い、ヒーラーとしての聖職者が「冒険者」として活動し、エルフやドワーフといった友好種族がいる一方、ゴブリンやトロルといった敵対(あるいは意思の疎通すらできない)種族がいて、世界は何らかの「異変」に見舞われている……といった感じです。


 この世界をゲームに例えると、プレイヤー(主人公)の立場としては、とにかく強くなってラスボスを倒せば解決するような、単純明快なシステムです。人間同士の争いのようなドロドロした要素は意図的に省いています。難しいことは脇において、痛快活劇としてお楽しみください。


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具体的にどういうゲームに似ている?


 職業(クラス)や呪文のシステムは『ウィザードリィ』を下敷きにしている部分が多いです。パーティメンバーが6人という、やや多めな人数なのも同作に由来します。


 それに例えるなら、トムのレベルは11か12あたりということになります。システムに詳しい方であれば、魔術の使える斥候(盗賊)であるイザがどういったキャラビルドなのか、英雄の生まれ変わりと噂されるアランが何者なのか等、想像することができるでしょう。


 なお、世界設定としてのモデルはゲームであってもこの世界そのものはゲームではないので、キャラクター自身がレベルやパラメータを数値として把握しているわけではありません。もちろん「ステータスオープン」は不可能です。読者としてもキャラの詳細データを知っている必要はありません。ゲーム由来の要素も、わかる人には楽しめる元ネタ程度の扱いです。


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主人公のトムってどういう奴?


 一言で言えばハードボイルドだと思います。一時の感情よりも深い信念で動き、義理や礼節を重んじ、常に強靱かつ冷静である(少なくともそうあろうとする)タイプです。目的のためであれば、時には自分自身をも犠牲にすることも厭いませんが、それすらも感情的な衝動ではなく理性に基づいた判断です(それが冒頭の「自主追放」に繋がります)。


 具体的な年齢ははっきりとは設定していませんが、おおむね「壮年」と呼ばれるのに相応しい程度には成熟しており、大人としての常識をわきまえています。自分自身の弱みも強みも理解しつつ、聖職者として可能な限り気高く、自らの役割を果たそうとします。


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ヒロインのライラってどういう子?


 一言で言えば天真爛漫です。トムのことは、その出会いの過程もあって本能的にリーダーとして慕いますが、やがてその感情は……。最後はハッピーエンドを約束いたしましょう。


(いわゆるカラーパイ的には、白青黒のトムに対して、赤緑のライラといったところです)


 こちらも具体的な年齢は曖昧なのですが、少なくとも「社会的(客観的)に結婚することが認められる程度には成熟している」ものとして設定しています。


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パワーバランスはどんな感じ?


 魔法(マジックアイテム含む)の補助こそあれど、人間自体の強さは現実世界とあまり変わらないイメージです。主人公トムとそのパーティはかなりの強者たちですが、必ずしも最強というわけではありません。無名のモブキャラの中にも彼らと同等以上に強い者は少なくないでしょう。


 詳しくは第8話などで解説していますが、正規の「冒険者」は決してゴロツキなどではなく、それなりに狭き門をくぐりぬけた精鋭で、社会的な地位もそれなりに高いです。


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文明レベルはどんな感じ?


 おおむね、リアルの中世ヨーロッパ並です。魔法はありますが局所的に使われている程度で、通信や移動の手段は原始的なものです。せいぜい狼煙や早馬が限度でしょう(日常的に使えるワープやテレパシーのような便利な魔法は無い!)。多くの人々は文字の読み書きすらできません。


 衣食住の文化なども、ある程度は歴史を調べて物語に反映させました。エキゾチックな異文化と接触するような雰囲気で読み進められるかも知れません。


 具体的には本編で語っているのですが、回復魔法も決して万能ではありません。《完治》といえども無条件でHP全回復というほど便利なわけではなく、まして死者を蘇らせたりすることは不可能です。


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登場人物多くない?


 第1話がキャラクター紹介を兼ねています。トムの回想に登場するキャラがわからなくなったら読み返してみてください。


 第1話にはいない新人トリオと弓使いジャックについては、割とキャラが立っているというか役割が明確なのでわかりやすいと思います。名前の登場しない人物は覚える必要はありません(ギルドマスターや神官長など、極めてテンプレ的な造形です)。

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