シャーロットは一度死んで蘇る。僕はこの世界が素晴らしく、そして手に余るほど自由であることを知った。

第0話 ある少年の夢

　素晴らしくも。

　この世界は自由なのだ。

　誰にも縛られることなく、誰しも遥かなる大地に夢を見る。

　暗澹（あんたん）たる闇は溶け、光ある夢の下に羽ばたいてゆく。

　そう、檻は破れ、砕けたのだ。

　──今、君は歩きだす。

「さあ……行っておいで、シャーロット。

　もうここに戻ってきてはいけないよ」

　優しげな声はそう呟いた。

　……それはまるで、神様に願い事をするかのように。

　そして僕は、その他人（ひと）の願いを叶えるために、立ち上がったのだった。

　僕はそんな──夢を見た。