※第5話
緊急依頼の内容は災害指定害獣が現れたとの事
災害指定害獣と言えばAランク討伐者じゃないと倒せない
とは言えそもそも災害指定害獣自体が殆どおらず、実力はあるのにBランクのままの討伐者も多数いるとの話
Cランクへの依頼はBランクの補佐
たまたまAランクチームが近場におらず、CランクとBランクで協力して足止めをして欲しいとの事
集まったのは俺たちを含んだCランクチーム3つにBランクチーム2つ
だだっ広い平原で害獣を待つ
姿は見えないのに足音だけが聞こえる
どんだけデカいんだよ…
足音が近付くにつれ地面が揺れる
まるで歩く地震源じゃねぇか…
流石に災害と呼ばれるだけはある
しばらくしてようやく害獣の姿が見えた
こいつの名前はマグニ、過去現れた記録は2回で1回は当時のSランク討伐者が討伐、もう1回は暴れるだけ暴れたらどこかへ消えていったとの事
体長は10階建てマンションくらいで、見た目は巨大な黒サイ
姿を見た瞬間さっきまであったワクワクは直ぐに消え去った
こんなのに人間が勝てる訳がないじゃないか…
代わりに絶望が俺の脳内を埋め尽くす
そんな時Bランクチームのリーダーみたいな男が声をあげた
「そんな絶望的な表情にならなくても大丈夫さ!!お前ら任務の内容、ちゃんと聞いてたか?何もあいつを倒す必要はない!あくまで足止めだ!!それくらいなら俺達だけでもやれるぜ、なぁ!?」
そう言われて周りを見渡す
剛達、それに他のチームのメンバーも情けない表情をしていた
俺も同じ様な表情をしてたんだろうな…
でも確かに希望が見えてきた
いつか分からないがAランクチームが来るまでの時間を稼げばいいんだから!!
さっき声をあげた人がいるBランクチームがアグニへと魔法攻撃を仕掛ける
見ただけでもその攻撃は裕二の魔法より強い事が分かる
それらは全てアグニの足へと直撃した
だが傷1つ付いていなかった…
攻撃されたアグニはBランクチームを標的にし、追いかける
巨体だから1歩がデカいが動き自体は遅い、捕まる事はないはずっ!!
ダメージはないが、今はこれでいい!
2つのBランクチームが交互に囮の役目を担うこととなった
このまた逃げ回り、平原を駆け回っていればいいんだからなんとかなりそうだ!
残りのCランクチームはBランクチームのサポートと他の害獣の相手をローテーションで行った
――長い長い一日が終わった
ローテーションしてるとは言え殆ど寝る時間がなく、体力を消耗していた
俺達ですらこんな状態なのだからBランクチームの疲労はこんなものではないだろう
それでもAランクチームがやって来るまで街を、人を守らないと行けないという使命感で踏ん張っていた
――さらに一日経過した
Aランクチームは本当に来るのか?そもそもいつ来るかを聞かされていないのに俺達はいつまで粘り続ければいい?
体もそうだが精神の方が悲鳴をあげる寸前になっていた
「もう知らない!!あいつを倒すか!俺が死ぬかぁ!!」
他のCランクチームの1人が限界が来てアグニへと特攻した
結果など見るまでもない、アグニに踏み潰されてしまった
だが彼を責める者などいない、1歩間違えたら自分がそうなっていたと分かっているから
――3日目
満足な食事も、満足な休息や睡眠も取れず、心も体もボロボロ
もはや全員限界だった
いっそ死んだ方が楽かも…
なんて考えてしまう程追い込まれていた
「待たせたな!!」
自分が作り出した幻聴かと思った
でも声と共に人影が4つ現れた
きっと彼らがAランクチームだろう
長かった…
本当に長かった…
まだアグニを倒した訳では無いが、これで俺達の緊急依頼は達成された
思わず涙が溢れた
ざまぁみろ!!
俺はアグニの面を拝んでやろうと思った
そんな事あるはずないのにアグニの顔が笑っているように見えた
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