初めての移植から

初めての移植は自信と希望に満ち溢れていた。

高いお金を支払い、薬を服用し、医師の指示通りにしたはずなのに

一回目は、陰性に終わったのだった。


この頃の私はまだ初めてのことだから仕方ないと

落ち込むよりも次こそは!という気持ちが大きかった。


そして2回目、3回目となっても陰性が続いた。

判定日の日が怖くなった。

授かるという気持ちよりもまた駄目かもしれないという気持ちが

どんどん増幅していった。

「今回は残念でした。」

まるで私という存在に不合格の烙印を押されたような気がした。


悲しくて、悔しくて、やりきれない想いを抱えながら

自信なさげにまた次の移植に向けて通院が始まる。


ある日医師から着床不全の検査をしてみませんか?と言われた。

「着床できないってことですか?」

このときには心がすっかり疲弊してしまっていた。


不妊治療したら皆授かれると思っていた。

でも違っていたのだ。

医療の力ではどうすることも出来ないこともある。

みんな同じなようで同じではないのだ。

それぞれ違った壁があって、もがき苦しんでいる。


この不公平な世の中だからこそ

どっちに向かおうとしたとしても

私はわたしを幸せにするために生きていきたい。

そしていつか胸を張って言いたい。

「この経験は私の人生には必要で大切な時間だったのだ」と




















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