2-3 どこにいるの?
幼子の姿のまま、
(あんな約束、しなければ良かった)
俺に何があっても手を出さない事! と
花轎の後方を距離を置いて尾行していた者たちが、あの光景を目の当たりにして冷静でいられるかどうか。早まった判断をしなければいいのだが、と
あの福寿堂の店主が指揮を執っているわけだが、彼がどんな人間かなど知る由もない。印象だけなら、頭の良い方の人間だとは思うが。
同じく
にしても、長い間、誰ひとりとして気付けなかったここの一族たちもそうだが、対峙した自分や
なぜなら彼女はその姿を、つまり人間の皮をその都度変える、特殊な妖鬼。
(あれは特級の妖鬼のひとり。実体を持たず、その瞬間まで生きていた新鮮な皮を奪って、ひとの世に紛れている、妖鬼)
通り名を
特級の妖鬼の中でも悪趣味な女で、自分は手を汚さずにひとをその口八丁で惑わし、そのどちらをも破滅に追いやる。
彼女が特級たる
それは、術士だけでなく同胞にさえ妖鬼であることを疑わせない、完璧な皮を得られること。あれだけの強い妖気を持っていながら、少しもその気配を感じさせることのない制御能力。
だが本当の厄介なのは、どんな物も歪ませてしまう特殊な力の方である。
なので、ひとに紛れて遊んでいる方が随分とマシなのだ。気まぐれな彼女は、遊びが終わればさっさと次の場所へと棲み処を変えるのだが、どうやらこの
(
今となっては、時間の問題だろうが。
後は
(
どちらかといえば、自分自身で画策して楽しむ方が性に合っているはず。
初めてその姿を目にした時、
妖気のひと欠片も感じられない。これほどまで隠すのが上手いとはと、もはや感心さえする。そんな中、宮女たちの声が聞こえてきた。よく見えれば、自分たちをここに導いたあの三人の宮女だった。
「いい? この事は他言無用。誰が来ようと知らぬ存ぜぬを通すのよ。
「もし宗主が直々に乗り込んできたら?」
「好きに見てもらえばいい。あのお方以外、正確な場所はわからないのだから」
話の内容から、隠し部屋のようなものがあって、それは
面倒なことをする、と
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