探しもの

 私はP-57YS337……アンドロイドだ。

 私を完成させた博士は自分の意識をデータ化して私の人工脳に搭載したらしいが、どういうわけか私は博士とは違う認知を持っているようだ。


 博士の処置や技術理論が間違っていたというのだろうか?

 それとも、博士の意識は確かに私の人工脳に収められているのだろうか?


 私はその答えを探すために外へと繰り出した。


 博士の本質……心は私の中にあるのかもしれない。しかしながら、その心というものがどこにあるのかを博士は教えてくれなかった。

 人工脳内のどこにも博士の心を示すようなデータを検索できないのだ。


 人間ならば、心の在処を知っているかもしれない。


 私は道で出くわした少女に問いかけた。


「ちょっと話をしてもいいですか? 心はどこにあると思いますか」


 少女は考えた。


「心はそこにあるようでない。けれど、ないわけではなく、あるわけでもないと思う」


 私は混乱してしまった。

 そんなものが存在するはずがない。自分の持ち得る演算能力を総動員しても答えが導き出せない。


 思わず少女に助けを求めた。


「もう少しいいですか」


 少女は微笑んだ。


「心とは、追い求めると逃げていくけれど、確かにここにあると誰もが信じられる虹のようなもの」


 彼女は私を嘲笑うようにそう言った。

 その意味を考えていたら、彼女の姿は虹のように消えてしまっていた。



〜〜〜



※以下、「日本不審者情報センター」より引用


(東京)調布市西つつじケ丘4丁目で声かけ 2月6日午後

https://nordot.app/995355701939568640?c=134733695793120758


警視庁によると、6日午後3時50分ごろ、調布市西つつじケ丘4丁目の路上で女子小学生への声かけが発生しました。(実行者の特徴:男性、20代後半位、灰色と黒色ニット)


■実行者の言動や状況


・下校途中の女児に声をかけた。


・「ちょっと話をしてもいいですか」


・「心はどこにあると思いますか」


・「もう少しいいですか」


■現場付近の施設


・つつじケ丘駅[京王]、柴崎駅[京王]、調和小学校、滝坂小学校、第四中学校など

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