夏フェス

目標

6月、ライブハウス「スターダスト」にて。

「そろそろ夏フェスに出てみるのがいいかもね」

「「「「夏フェス~~?」」」」

「8月、夏休みの終わりにやるフェスだ。うちも協賛してもらってる。良かったら、出て見ないかい?」

「出ます出ます!」

 即断即決で決まった夏フェス参加。

 さて、どうなることやら。



 俺達が参加することになった夏フェスは「スタードリームフェス」という屋外型で、いくつかのステージに分かれて、パフォーマンスをする。

「屋外での演奏は遊園地ライブ以来ですね」

「そういえば、参加者にインスカもいるな」

 インスカとは「Infinity Sky」というロックバンドで、俺達の先輩に当たる。

 いや、勝手に先輩と呼んでいるのもおかしいかもしれない。

 俺達とインスカの間には、まだ超えられない壁がある。

 それを遊園地ライブで思い知らされた。

 リベンジという訳ではないが、少しでも成長した姿を見せられればいいと思う。

「メインステージと二つのサブステージに分かれていて、俺達が出るのはサブBで16時からのステージだ」

「インスカはメインステージだな」

「当たり前だろ。今、インディーズで、一番売れてるんだから。メジャーデビュー間近って噂もあるんだぞ」

「フェスに向けた練習、どうする?」

「そうだな。選曲も考えないといけないし」

「後は宣伝ですね。こういうフェスは人気が如実に表れるますし、ステージに立った瞬間、お客さんが少なかったら、僕達のモチベーションに関わります」

「だな。早速トゥイッターで宣伝しとくぜ。フォロワーにもチケット取ってもらわないと」

 俺達のトゥイッターフォロワーは千人くらい。これがバンドとして多いのか少ないのかは分からない。これでライブにまで来てくれるアクティブユーザーは百人いるかいないか。当日、ステージから見て客がまばらだったら悲しいし、トラウマになるかもしれない。

「宣伝活動は任せましたよ。梅村さん」

「おう」


「俺達の持ち時間は大体30分。盛り上がる「just do it !」と「ディスカバリー」は入れるとして……、うちらって夏っぽい曲なくね?」

「夏っぽくて、フェスでも盛り上がる曲……」

「奏音ちゃん、どう?」

「やってみる」

夏フェスまでにファンを増やすこと、夏っぽい新曲を作ること。

目標は見えてきた。後はやるだけだ!


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