第208話 「黒歴史」の語源はガンダムから
さて、「カクヨム」の企画「黒歴史放出祭」、締切日の4/1まであとわずか。
「黒歴史」という言葉について、掘り下げてみたいと思います。
「黒歴史」……過去の自分の恥ずかしい歴史、忌まわしき思い出。
この言葉自体が使われ始めたのは、2000年代初頭から。
今は日常で一般の人も使っている言葉ですが、元を辿れば、1999年のテレビアニメ作品「
「
戦争兵器として開発された「ガンダム」などは存在しませんが、遺跡から発掘されたロボット(作中では「ドール」と呼ばれています)を修理して、昔の文明を利用して活用している設定です。
そして、隠されていたある遺跡の中の資料で、人類は「過去に戦争を繰り返していた」ことを知るのです。
自分たちが修理して使っていたドールは、かつて戦争で人殺しの道具として使われた「モビルスーツ」であると。
それまでの「ガンダム」作品群は「それぞれ別作品」と暗黙の了解があったと言われていますが、この「
(遺跡の中の資料では、別作品で登場するガンダムの映像が引用されています)
「A」の上下がひっくり返った「
「すべて」と打って変換すると、「∀」と出すことが出来ます。
富野監督は「全てのガンダムを全否定し、全肯定もする」という意味でも「∀」をタイトルに使っているようです。
封印したい、なかったことにしたい歴史……人類の「戦争の歴史」は、作中で「黒歴史」と呼ばれました。
これは、1999年当時、作品オリジナルの「専門用語」でした。
ですが、この「黒歴史」というキャッチーな語感が、アニメ作品だけではなくネットスラングとして定着し、その後は一般にも波及し、浸透していったという次第です。
ちなみに、「厨二病」というワードも(個人的主観において)似たようなカテゴリで使われますが、こちらは伊集院光氏のラジオのコーナー「かかったかな?と思ったら中二病」が始まりと言われています。
このコーナーが始まったのは1999年からで、当時は「大人になってから考えると、中学二年あたりの自分の言動は、どうかしていたと思う」というところから「あれは一種の病気だ」と解釈する、そんなニュアンスでした。
自分の昔を振り返って「あれは中二病という病気だったから仕方ない」と自嘲的に語るのがメインで、リアルタイムの「痛々しい言動」を指すものではありませんでした。
タイムカプセルに入れておいた、一時の「気の迷い」が時間差で炸裂し、時限爆弾のように後から恥ずかしさがやってくることから「
(これを書いている私は、古くからの伊集院光のラジオリスナーなのです)
ネットスラングとして定着し、「中」の字が「厨」に変わって「厨二病」として使われるようになる頃には、すっかり本来の意味とは異なって用いられていました。
「壮大すぎる独自の設定を作り出し、世界観やアイテム(呪文や魔方陣など)にハマって空気を読まずに人前で繰り出す」など、「他者から見てみっともない(痛々しい)言動」そのものを意味するようになっていました。
スタートから全然別のところに発展・進化しているので、もはや完全に別の言葉としても良いのでは、と思えるほどです。
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