チェイン
旅人
第1話 転生
「よし…」
俺はカードが広がった机の上を見てそう呟いた。すると途端に疲労感を感じた。
今までどれだけ集中していたのだろう…。
すると机の向こう側に座っている男から
「ナイスバトル、楽しかったよ」
と言われたのでこちらも
「ありがとうございました。楽しかったです」と答えた。
そして、握手を交わした。
手を離すと少しくらっとした。さっきまで集中していたからだろう。
「フッ」と薄く笑うと
「では…
と言い男は店を出て行った。
自分も店を出ると今のカードゲームのことを振り返る。今出てきた店は家の近くのカードショップであり、その店のフリー対戦スペースでカードバトルをしていた。
相手のデッキはファンデッキとガチデッキの中間にある人気のデッキであり大会でも優勝結果を残すほどのデッキであった。
だが少し古い。
しかし、俺が使ったのはクソ強いガチデッキ、所謂環境デッキである。
このデッキで大会に出て直近の大会で優勝したこともあるほど強いデッキである。万に一つも負ける要素がない。とそんなことを考えながら歩いていると目の前に紙が落ちていた。
よく目を凝らしてみるとカードだ。見たことないデザインをしている。
気になって手に取ろうとするとカードは風に飛ばされてしまった。
カードを追いかける。
「待てー!」
俺はカードを追いかける事に夢中になりすぎて道路に出ている事に気が付かなかった。
ギキィー‼︎
という大きな音を立てこちらに向かって来るトラックを見た。
ドン‼︎と言う凄い音がしてから
「キャー‼︎」
と誰の声かも分からない声が耳に届くが次第に意識が薄れていく。
このまま死ぬのかなと思い最後に
「天国にもカードゲームがありますように」
などという訳の分からないことを呟き意識がなくなった。
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最後の願いが叶ったのかまたカードゲームと出会うことができた。
俺は神様を信じるようになり有神論者になった。
誰を信仰するか迷うな…まぁ誰でもいいか。
今、俺は生後数ヶ月の赤ん坊だ。意識がはっきりしたのは最近だし、時間の感覚もまだ曖昧で正確なところは分からない。
何より言葉が分からない。
だがこの世界は現代日本より文明が進んでいる。
今の日本で見ることができない物や建物が溢れていた。
そして何より大切なことがある。
この世界にカードゲームがあったのだ。
名前は「チェイン」。日本では聞いたこともないカードゲームの名前だ。
言葉が分かる様になってからチェインについて調べた。
ルールは
まず、ソウルモンスターゾーンに左上に0と書いてあるモンスターカードを置く
↓
コイントスで先行後攻を決める
↓
ドロー
↓
チェインゾーンにカードを左を上にして横に置く
↓
メインモンスターゾーンにモンスターカードをソウルモンスターゾーンにあるモンスターカードのチェインマーカーが合うように置く
(この行為をチェインと言う)
↓
メインモンスターゾーンのカードは攻撃が可能であり左下に攻撃力が書いてある
↓
メインモンスターゾーンにカードがない時ソウルモンスターに攻撃ができる
↓
ソウルモンスターに攻撃した場合ライフに攻撃力分のダメージを与えることができる
↓
ライフは200で相手のライフを0にした方の勝ち
簡単に説明するとこんな感じである。
他にも複雑なルールはあるが後で説明する事にしよう。
そして、驚くべきことにこのゲーム、モンスターをチェインすると本当に質量を持ったモンスターが出てくるので戦争で使われているのである。
物騒な世界だな…と思いながら俺は目を閉じた。
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