第3話 キラキラ②
(ふざけんな!)と言いたいところだったが、相手は一応女子だ。
僕は自分の感情を押さえつけながら山本に伝えた。
「ポテトぐらいしか奢ってあげれないんだけど、いいかな?」
すると、山本は子犬のように僕のところに走って近づいてきて、
「たっくんって優しいね!好きになっちゃいそう」
満面の笑みでそう言って、僕の前をスタスタと歩きだした。
向かい風で山本の髪がなびいたせいか、フワっと甘いシャンプーの匂いがして少しドキっとした。
ファストフード店で、MサイズのポテトとSサイズのコーラとメロンソーダを買い、近くのちょっぴり廃れた公園で食べることになった。
廃れているせいか、子供もいなければ遊具もなく、ただポツンとベンチがあるだけだった。
僕はベンチに腰掛け、コーラを飲みながら周りを見渡した。木や草の手入れもされていないのか生い茂っていて、虫も多そうだ。僕は虫が大の苦手で、母親いわく小さい頃から公園では、遊びたがらない子供だったらしく、幼稚園の時の遠足も、行き先に芝生があると知ったとたん「虫がいる!嫌だ!行きたくない!」と泣いて行かなかったそうだ。
こんな所で油まみれのポテトなんか食べてたら、匂いにつられて虫が寄ってくるに違いないと思った瞬間、一気に食欲がなくなってしまった。
ふと横に目をやると、山本が両太ももでメロンソーダを挟み、左手にポテトの容器を持ってもの凄いスピードで食べていた。本当にお腹が空いていたらしい。2人でシェアするつもりでMサイズを買ったが、僕の食欲もなくなったことだし、ちょうどよかったのかもしれない
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます