一輪の悪魔
コタルト
第1話 プロローグ
明日、一人の男の死刑が執行される。
中村蓮、30歳だ。
殺人を犯したのだ。
薄暗い独房の中、鼠色の天井を見上げながら涙を浮かべ、愛する嫁と息子との思いでを振り返っていた。
(そういえば鈴と付き合って、初めて俺に作ってくれたハンバーグ、少し焦げてたな。恥ずかしかったのか頬を桃色に染めながら、色んな言い訳をしてきて可愛かったな。そんな鈴を見て決めたんだよな、絶対結婚するって。
で、あっという間にときが流れて紫苑が産まれたんだよな。あんなに小さかった紫苑も、もう2歳か。来年には幼稚園か。見たかったな、紫苑の制服姿。
でも、もうそんなことも叶わないのか。こんな夫で、こんなパパで本当にごめんな。一生恨まれるんだろうな。まぁ、無理もないか。俺が犯した過ちのせいで2人はこれから死ぬまで、沢山の人から白い目で見られ続けるんだもんな。本当にクズだよな、俺。なんでこんなになっちまったんだろうな。
って、それもこれも全部あいつのせいだ・・家族を壊したあいつのことは・・マジであいつだけは・・あいつだけは死んでも許さねぇ。また地獄で会おうな、悪魔さん)
その10時間後、死刑が執行された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます