蒼き友愛の戦春石火《アドレセンス》

Siranui

第一話「友愛」

 ――今日も朝焼けが視界を包み込む。目を擦りながら重い身体を起こし、思い切りカーテンを開けてすぐに窓を開ける。優しい風に当たりながら思い切り伸びをする。


「ん〜っ! 今日も良い天気!!」


 雲一つない晴れ晴れとした空を見て、ほんのちょっとだけ嬉しく感じた。今日は良い一日になるのかなとちょっとした希望を胸に抱き、私――涼宮凪沙すずみやなぎさはベッドから起き上がっては朝食の調達のために自部屋から出た。

 扉を開けた途端、横一直線に続く廊下が視界に映る。これもいつもの光景だ。白い壁も、向かいの部屋の番号もここに来てから何度見たことか。


「――相変わらず早起きですね、涼宮さん……ふわぁ……」


 そんな時、隣の部屋の扉が開く音と同時に私を呼ぶ眠そうな声が聞こえた。ふと右を向くと、寝癖で髪が乱れた状態であくびをする私の相棒――錦野蒼乃にしきのあおのがそこにいた。


「あ、おっはーあおっち! そっちは眠そうだねぇ〜」

「おはようございます……涼宮さん、その呼び名はやめてください」

「えーいいじゃん! こっちの方が仲良しって感じするでしょ! ほらもう今日から私達ニ年生になるんだし、私の事も『なぎっち』とか『なぎなぎ』とかって呼んでいいからさぁ〜!」

「あくまで任務中にペアを組んでいるだけですから……あまり馴れ馴れしく接してこないでください」

「むぅ……冷たいなぁ〜! 仲良い方がこれからのためにも色々いいでしょ! ほら、戦闘での連携も取りやすいし……あと何より部屋も隣なんだし!!」

「あくまでそれは任務での関係です、任務外ではただの同期ですから」

「そんなぁ……! あ、ちょっと待ってよ〜!!」


 毎朝起きてすぐ蒼乃ちゃんと話してこうして何気ないやり取りをしてから授業を受ける……これが私の日課であり、癒しなのだ。


 そう、これは私達がまだ研修生としてこのアルスタリア高等学院に通っていた頃の――甘酸っぱくも楽しい、生涯訪れない一時の青春物語。

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