09 チャールズと横断歩道



 一匹の寂しい犬がいた。


 かつてはその犬に家族がいたが、今はただ一匹のみ。


 それは、数年前に発生した事故でなくしたせいだ。


 とある老夫婦と共に散歩していた犬は、目撃した。


 目の前で通り過ぎた鉄の塊が、老夫婦を轢いてしまったのを。


 老夫婦はすぐに病院へ運ばれたが、治療の努力してむなしく亡くなってしまう。


 犬はその事実を知らずに、事故があった場所で待ち続けた。


 犬を保護しようとした人もいたが、その行動は遅かった。


 真夏の暑い日であったことが災いして、犬はその場所を動かずに亡くなってしまったのだった。


 それ以来幽霊となった犬は、その場所で待ち続けていた。


 自分の主人達が帰ってくるのを。





 その間、犬は自分の主人と同じ目に合わないように横断歩道を歩く者達を守っていた。


 その努力を、何者かが見ていたのか、奇跡が起きた。


「これチャールズ、いつまでそんな所におる」

「私達と一緒に早くお家に帰りましょう」

「わんっ」


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