遺影

梅田 乙矢

僕はビルの屋上に立っている。

ここからの景色は目の前をさえぎるものがほとんどない。

いつもあんなに大きく見えていた人も車も

とても小さなものに見える。

ときおり吹く強い風も今の僕には心地が

よかった。

今日で全てを終わらせようと決めてここに

来た。

何だか、急に生きていることがむなしくなったんだ。

死ぬことに勇気なんていらなかった。

僕は屋上から飛び降りる。

落ちていく途中で地上にいる人と目が合う。

そこいたら危ない。

ぶつかってしまう。


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