第10話『証言者』

冴えかえる土偶のベルトきつく締め視線ひとつを定めたままに


春の日の薄く命を包みこむ空より降りる声に導かれ


白魚の塊騒ぐ網の中命の力捕食するかな


春草のはや点々と野に生えて薄紅の夕君に見せたい


春泥を塗られ祝福村祭り客も一緒に泥叩くなり


隣の田永遠に続き蛙鳴く歴史だけが証言者

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