第8話 ボス戦前まで
カプセルのあった部屋より奥は比較的暗くメリネアの灯により明るく照らしながら進む。魔物が出現すれば、メイプルが銃を取り出し正確に、
「魔物…。”執行”」
と、魔物が砕け散る。
砕け散った魔物は、素材へと変換され鞄へと入っていった。
「紋章の力を借りなくても身体能力や様々な能力がずば抜けてるんだ」
「…そうか…。職業は何なんだ」
とブラストが聞くとメープルはうーんと考えて
「”執行人”、敵の弱点を見抜き一撃必殺を入れることで瞬殺できる弱い敵なら殆どの場合瞬殺。だけど、強敵になると部位欠損程度って感じの雑魚殲滅職だね」
「なるほどな。メープルあんがとよ。で、アーシュどう思う」
そうだなと感じ、地図を描きながら話す。
「まだ世界樹を登っていないから何ともだが…。全体的にユニークな職業ばかりが集まってるよな。”剣豪”に、”デブロッカー”に”巫女”、そして”執行人”だろ…」
「そうだよね。だよね」
メリネアは輝きで満ちている。メープルは、髪の毛を手入れしながら。
「本当に、世界樹を踏破できるのか。挑戦してみたい気持ちではあるね」
脇道にそれながら大きめの魔物の横を通り過ごしていく。道を通ろうと思ったら世界樹の根が邪魔で進めない場所も出始めた。
根っこを避けながら進めていると…、メリリアが告げる。
「突き当りを左、その次の交差点が順路なんだけど…。大きめの魔物と遭遇するかも…。数体いるから戦闘は避けられない準備して」
という事で、順路通り歩いていると…。
歩いてるときにメリネアはメープルと話し始めたので、俺とブラストは大きめの魔物を見つけた。
「”挑発””斬弱体”」
と大きめの熊の魔物をこちらに寄せつつ、ブラストは瓶を投げる。瓶が魔物に当たると足が遅くなる。その瞬間を見逃さない俺は刀を抜刀し縦に刀を向け…。
「兜割り」
と魔物を割り砕く。
「大きくても雑魚は雑魚だな」
「ああ、えっとメープル顎が外れてどうした? 」
…メープルの方を見ると顎が外れ驚いた顔でこっちを見ていた…。
「私も相当だと思ったけどあなた達も相当ね。あの魔物が、いかれてたのかも」
「かもな~。それにだがあれだけ素早い敵はいつ見ても苦手なもんだよ」
「そうなんだ」
メープルの唖然とした顔に、何かと笑顔のメレリア。少しなごんだ感じの所で先へと進んでいく。
「この先一本道、その奥に大きな扉。そしてこのエリアのボスがいると思われる場所があるね」
「じゃあいくか」
と4人で入ったんだが、俺以外は扉の中に入ることが出来ず飛ばされた…。
「”紋章”を得るための敵は、大体何かの制約があるけど。今回はソロ討伐らしいね」
とメープルは立ち上がり話す。
(制約か、己の限界を超えるためにはいいのかもしれないな)
「私たちは外で待ってるね」
「ちっ…、まあ待つだけといっても…。魔物が大量に押し寄せてきてるっぽいな」
「…、ああ面倒な事になる前に戻ってきてね」
という事で、俺は先へ1人で進むこととなった。扉が轟音と共に閉まり、完全にシャットダウンされたようだ。
”よくぞ参った。汝は、”紋章”を取る資格がある”
「ああ、真っ暗で姿が見えないが…。取る資格って英雄になれる力か? 」
“いや、それ以上だと思われるが。おぬし自身から湧き上がる。青い光、その光で限界だと思わぬことだな”
(あの光、避けると強くなる力の事だね。素直に話すか)
「…、制御方法がわからなくて。強敵に挑む際や命の危機に瀕した時は出てくれるから助かることがあるんだけど」
すると、その声は落ち着いた様子で話す。
”そうか…。その力は、世界樹自身いわゆる”ユグドラシル”がもたらす奇跡のような力であるが本来、紋章あるからこそ真価が発揮される。ここは、その力を授けるのにふさわしいかを判断する場所じゃ”
(紋章ある前提での話って事か…)
「じゃあ試練を始める前に聞いてもいいか? 」
”なんだね、小僧”
「この力は、英雄をも超えるといっていた。なら、その力を伸ばす方法は? 」
と聞いてみると、その声はふぉふぉふぉと笑い。
”左様、このアウシュハーリアを踏破していく事、各地の”伝承”を解く事。いわゆる”世界樹”に関する事だ。その道は、彼らが導いてくれるじゃろう”
「彼らって」
”ふぉふぉふぉ、紋章を得た後街へと戻るがよい。さすれば分かる。因みにこの遺跡はちょうどよいと思って来ただけじゃ”
という事らしい。いや、世界樹の奥地に潜むのがちょうどいいからという事で居座るのは…なんだかなと思う。
「じゃあ、試練を始めるか」
とつぶやくと、部屋が明るくなってくる。
中央には、2つの斧を下げ正座しているものがいた。
大きな牙があり、肌が尋常ではないほど筋肉質なもの…。
””威勢がいいことじゃ。では…、始めよう。わしは、戦えるほどの力が残ってない故ここで見守ろう。おぬしの全力を以てこの”暴食の化身ヒュプノス”を倒せ””
という事で、力を得るにふさわしいことを証明するための戦いが始まった。
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