第4話 その道の先にあるものは

 次の日、朝起きたのち宿屋を抜けるととなりにあったと思われる家は解体されていた。昨日のナーシャがやったのだろう。それだけではない周辺の建物も同時に解体されている。恐るべきナーシャの行動力と財力…。

両方なのかな。迷宮の方へ行く前に、


「いらっしゃーい、迷宮へ入る前に。最高のアリアドネの糸、ポーション等各回復素材売ってるよー、安いよー」


と道で宣伝しているナーシャを見つけた。


「寄ってくか」

「そうだね」


という事でナーシャの場所により、アリアドネの糸やポーションなどを購入する。出発の際、


「命大事に、危ないと思ったら逃げるのですよー」


といわれ手を振り分かったと意思を伝え進む。

 鞄の中にある魔物の素材は総て換金したうえで、『ウラフェルカムラ』に戻りコインを預ける。その際、カムラに一部資金は運営に充てていいよといった。専属宿屋になったとしても、運営費用が掛かるのであるならばその分を少しでも補充するのがいいだろう。


「よいが、まあちょっとした足しとして使うな」


という事で了承してもらった。

ブラストと、メリネアもその点には納得している様子。


世界樹料理ユグドラシルブランチの魅力をもっと深く味わいたい」

「まあ美味しい料理に、何も払わねえってのはな」


という2人の会話。仲良いなと思いつつ進む。

迷宮への入り口へ進む際、ある場所に集まっている複数の冒険者で同時に進む攻略組が攻略開始し全滅したという掲示板があった。広い街の掲示板は、街のあちこちにあるので情報を集めやすい。


(伝承を信じないもの達か。こんだけ広い街だし出てもおかしくないよな)

「昨日話した通りだろ」

「本当だね」


 メリネアは、そうなんだというような納得したような感じだった。

そのあと、冒険者ギルドは集団で攻略しないことを勧告。迷宮の入り口に、引退冒険者を立たせ1パーティで入るかどうかを厳しく精査するとの事らしい。


 関係ないので、自分達はそのまま迷宮へと向かい。

迷宮の中へと向かう。その足取りは軽く昨日見た石畳の場所へ赴く。

道への通路は開いたままだった。


「2人とも準備はいいか」

「探索魔法の準備はばっちりだよ」

「装備も整えたし総てが整ったんだ。行くか」


 2人ともやる気があるようだ。

(まあ、この奥で死なないように気を付けていこう。さっきから頭痛が、し始めたし。何かがあるというより呼ばれてるからね)


 石畳の通路を歩いていると、複雑な迷宮のような事はなく。

暫く進むと、階段が出現し。後ろの通路が閉まった。


「これは先に進めって事だね。階段の奥は、広めの空間があるっぽいよ」

「そっか、この先暗そうだが。火はっと」

「炎の舞、灯」


 俺たちは火をつけようと松明を用意する前に。メレニアは、杖の先端の宝石が輝き傘のような形をとりくるりと回ると火の玉がぷかりと1つ浮かんだ。その炎は、消えることなく常に燃え続けていた。


「これで先に進めるでしょ」

「おっ、そういうのもあるんだな。ありがとよ」


ブラストはなるほどなあとそれを眺めていた。

唖然としたが、考えてみたらサポートというのはどういった特殊環境であっても対応する術があるって事なのかもしれないよなと感じた。


「巫女の事教えてくれないか」


とブラストが聞くと、メリネアは頷き。


「えっとね。巫女の能力って、特殊じゃないよ。暗黒な空間、酸性雨、毒ガス、火山の内部、如何なる環境においても他者を支え最高の状態で戦いに挑む。これ以上に、サポート職として優れてないでしょ」


 と矢継ぎ早に話すメリネア、それに圧倒されたブラストはメモをするのを放棄して、彼女へ向きお辞儀をして遠くの方で何かが出る音がした。鼻血だろう。なんでだろうかと思いつつも、メリネアに質問を問いかけた。


「教えてくれてありがとな。まあその分戦いに参加できないデメリットがあるんじゃ」


聞いてみると、メレニアは首を振って。


「そんなのデメリットじゃない。まあ強敵との戦いになったら真骨頂発揮するんだから」


と、大丈夫だから心配しないでといった様子だ。


「続きの話は今日の探索が終わってからだ。奥いくぞ」


(確かに難しく考え過ぎだな。生き残るため集中っと)


 続きは帰ったらという事で先へと進む。

先へと進むと、広めの空間にたどりついた。そして中央には門がそびえたっている。地図に反応があったので広げてみると。場所の名前と階層名が記されているものを見つけた。


『==”==” 第1エリア封印室』


という文字が地図に浮かび上がる。一部読めない文字だが、何かを封印していたのだろう…。それにしても白紙の地図明らかに広いな。横に縦に、どの方角も伸びているこの空間は何だろうか。ボンボンボンという音ともに、一定間隔に謎の光の玉がともる。

刹那、空間が輝いたかと思うと門に2匹の龍が円を描く紋章が出現した。


(これ、過去の文明だとしてもこれ相当凄いのかもしれない)


「…、なにこれ…」

「ここまで、遺跡が活発なんて聞いたこと無いぞ」

「そりゃ、騒然とするよ。迷宮の下に広大なダンジョンが広がってるなんて誰も予想できないよ」


 俺達それぞれの感想はよそに風景は変わっていく。

 描かれたのは、魔法陣が歯車が重なったような不思議な光景であった。何処までも広がっている。それは、淡く輝いたかと思うと門が開く。何とも言えない感覚、全身が震えが止まらないな。


 呆気に取られていると、地面が勝手に動き出す。

自分たちは動いてないにもかかわらず、地面が勝手に動き門の中へと誘われ。門は、閉門…何事もなかったかのように真っ暗な空間へと戻った。

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