第11話 この1週間の俳句『朧』25句

2022年1月29日~2月4日



風光りこぼれる雫手で受ける


猫柳この地の先は未開なり


北国はそこから暮るる蓬かな


今日の月人果てしなく朧かな


残雪に光を残す雉の羽根



立春や回転しつつ独楽ゆらぐ


花魁の下駄の音は花の時


白梅が咲き吉報の日となれり


花冷や空高き凧眺めつつ


号外が飛交う街の淡い雪



春の夜の産声響くクリニック


夜祭の大ばちしなる春疾風


春雷や闇生まれまた消える闇


恋猫やトタンの屋根は二十年


年男炎をくべる野焼きなり



春陰の中を流れる隅田川


扇子持ち二月の風を振ってみる


鶯で谷の深さを知りにけり


春の波光の中に街があり


花冷えの街の夜空に浮かぶ文字



残雪は生命残し春スキー


芽吹く村帰宅チャイムに響きあり


蛤や右の熊手に日が射して


日の光月の光と蝶は飛ぶ


花冷えに静かに眠る図書館や


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