恋とは微妙なバランス

りょあくん

運命の出会い

 ある晴れた春の朝、高校生の藤原花音は、校舎の廊下を歩いていました。

 彼女は笑い上戸であり、いつも周りの友人たちを笑わせることで自分の存在感を保っていました。

 しかし、内心では恋愛に対する憧れを秘めていました。


 その日も花音は学園の中庭に集まった友人たちと楽しそうに話していました。

 すると、突然学園の門から新しい転校生が姿を現しました。彼の名前は橘涼介。


 涼介は髪を青く染めたクールなルックスと鋭い眼光を持つ少年で、彼が現れると学園中の視線が一斉に彼に集まりました。

 しかし、彼自身は人見知りで内向的な性格であり、他人との関わりを避ける傾向がありました。


 花音は涼介の内面に興味を抱きました。

 彼の人見知りと内向的な性格は、彼がどんな人なのか、どんな思いを秘めているのかという謎を生み出していました。

 彼女は彼の心を開くために、自分が普段周りの人たちを笑わせることで彼と繋がることができるのではないかと考えました。


 花音は友人たちに計画を話し、共に涼介にアプローチすることを決意しました。

 学園のイベントでのお笑いライブや、意図的なドジを仕掛けるなど、彼を笑わせるためのアイデアを考え出しました。


 翌日、花音は笑いの才能を発揮するために学園のお笑いライブに参加しました。

 ステージに立つ彼女は、鮮やかなボケとリズミカルなツッコミで観客を笑わせ、大きな拍手を浴びました。

 しかし、涼介の姿は見当たりませんでした。


 彼女は次の作戦として、意図的にドジを仕掛けることを決めました。

 ランチタイムに食堂で友人たちと食事をしている最中、花音は大げさにトレイを転がしてしまい、食べ物が床に散らばってしまいました。

 周囲の生徒たちは驚きの声を上げ、その騒ぎに気づいた涼介も顔を上げました。


 花音はドジを仕掛けたことに気づいた涼介が笑ってくれることを期待していましたが、彼は驚いた表情のまま近づいてきました。


「大丈夫ですか? 手伝いましょうか?」


 と心配そうに尋ねる涼介の言葉に、花音は戸惑いを覚えました。


 彼女は予想外の反応に少し困惑しながらも、笑顔で応えました。


「大丈夫です、ありがとうございます。でも、おかげさまで笑ってもらえているといいなと思ったんですけど…」


 涼介は少し照れながら笑顔を見せました。


「ごめんなさい、僕はあまり笑うことが得意ではないんです。でも、君のお笑いは本当に上手で、みんな楽しんでいるよ。」


 花音は彼の言葉に少しホッとし、同時に新たな興味が湧いてきました。

 彼の内面に秘められた思いや感情に触れたいという強い想いが花音の胸に芽生えました。

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