第90話 脚肉の唐揚げ

 そのために……クレハには、ちょっと特別なお肉を調達してもらったのだ。



「ゲコガエルなんか……どうするん?」



 カエルはカエルなんだけど……牛蛙より少し大きい、水色のカエルなんだよね?


 これの脚肉を今日は使おうと思っているのだ!



「唐揚げにしようと思うの」


「「カラアゲ??」」


「揚げ物です」


「揚げ物!!」


「……脚肉を、揚げるのか?」


「もちろん、下味などはつけます」



 醤油、酒に臭み消しの薬味等々。


 これに……異世界では『ネリ粉』と言う片栗粉と同じもので、竜田揚げのようにしていくのだ。


 脚肉を持つのは……ちょっとだけ抵抗はあったけど。美味しいものになるのは、多分合っていると思う。


 油鍋の中で、肉が固くなり過ぎないように慎重に揚げていけば……ぱっと見はえげつないカエル脚の揚げたものだった。



「ほーん?」


「……本当に食べられるのか?」


「大丈夫だと思います」



 菜箸で持ち上げた感触も……ずっしりと重い。


 どんどん揚げていき……お皿の上には、カエルの脚肉の山が。


 いい匂いはするけど……大丈夫、だと思う!!


 お昼ご飯のつもりなので……ここには、リーガとスープもきちんと用意したわ。揚げ物だけじゃ、お腹がもたれるかもしれないからね?



「にゃー。匂いはええわー」


「ここは手づかみでガブッと!」


「……可食部は、脚の肉か?」


「そうですね?」



 日本とかではだけど。私も師匠らにご馳走だと言われなきゃ……絶対避けてた部位だ。


 びっくりジビエは……最初の頃は、スッポンで逃げ出そうとしたこともあったが……慣れって怖いのよね?


 トリップした今でも……大抵は平気になってしまったから。


 なので、いただきますをしてから……脚の両端を持って、腿の部分にかぶりつく!!



「「美味い!?」」


「おいしー!!」



 下処理と下味をしっかりつけたお陰で……水っぽくなりがちなカエルの脚肉だけど、しっかりと唐揚げになっていた!!


 弾力もだけど、鶏肉……こっちだとコカトリスとかに近いかしら? 味わいが濃厚だが、醤油達の味をうまく受け止めている!!


 衣もクリスピー食感がたまらなく、何本でもいけるわ。


 なので、骨を残して次に行こうとしたら。



 バキバキ!



 ボリボリ!!



 って音が聞こえたので二人を見れば。


 骨ごと頬張っていた!?



「クレハ!? スインドさん!?」



 なんてことしているのとツッコミたかったが……二人は何故かとっても美味しそうに噛み砕いていたのよね?



「うんみゃ〜!? サイシの味が染み込んでいるわ!!」


「……火を通すと、ゲコガエルの骨が食べられるのか? たしかに美味い。ヒロがよく使う『ダシ』に似ているな」


「え……えぇ??」



 ジビエでも、軟骨以上の骨が食べられるの?


 魚の小骨はともかく……細身でもちゃんとした骨なのに?


 試しに……手に持ったままの骨をかじってみたら。



「美味しい!?」



 これ……出汁醤油味の、骨せんべいだわ!?

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