5.恐怖! トリプル食い倒れ星人!

 ランチタイム。メニューは―――ラーメン。


 ずぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞおぉぉぉ―――――ッ!(一坂)

 ずるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる~~~~~(ミカン)


 二人の食い倒れ星人が中華鍋みたいなデケエどんぶりから豪快に麺をすすり、トッピングの野菜炒めをガリガリ食削しょくさくしていく。

 狭い四畳半に立ち込める殺伐とした熱気。

 こんな光景を見せられたら普通はドン引き確実なのだが、


「ぬぬぬぬ………」


 名取は初めての箸に苦戦中で、それどころではなかった。


「無理するな、名取」


 見かねてフォークを差し出す詩織。ちなみにミカンもフォークで食ってる。


「ありがとうございます。ですがもう少しだけや、ら、せ、て、ください……っ」


 最後の部分がかなり力が入っていた。


「うあっ――……」


 指をつった。

 宇宙連合スペース警察所属、なんちゃらナイト―――敗北。

 観念してフォークを受け取り、麺を口に運んだ。


「……美味すぎる」


 愕然としていた。


「こんなに美味なものは食べたことがない。私も様々な星でご当地料理やB級グルメを口にしてきましたが、このらあめん以上はお目に掛かったことがありません……」


 随分と高評価だった。


「立花さんは一流シェフなのですか?」

「女子高生だ」

「恐るべし、女子高生」


 なにか勘違いしているような気がするが、とにかくお気に召したらしい。上機嫌の名取がトッピングの生卵の黄身をフォークで刺すと、一坂の目が目ざとく光った。


「ちっがーう! 卵の黄身は潰すんじゃなくてスープが少なくなってきたところを、一気にすするのが通なんだよおおおおっ!」

「別に好きに食べればいいだろう(一応反応してあげてる詩織)」

「何言ってんだよ! 通ってのはなーっ!」


 ビンタされた。

 死んでもどんぶりをひっくり返さないのは、さすがの執念だった。


「しほりちゃーん。おかわりー」

「名取もどうだ? 遠慮することはないぞ」

「(ガタッ!)ぜひお願いします!」

「あの……しお」

「〝あ〝あ?」

「………いえ。なんもないっす」


 一坂は萎縮しながら、いそいそと自分の分の麺を茹でに行った。

 そして、


 ずぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞおおぉぉぉ―――――ッ!(一坂)

 ずるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる~~~~~(ミカン)

 ズルズルズルズルズルズルズルズルズル――――――――――――ッ!(名取)


 食い倒れ星人が三人になった。





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