悪事

芳墨の蟻

てんとなって いえる けれども


サンルームから見守るだけ

しんしんとやまないように

爪を立て、巡らせてあげる


また寒い日に、カラの薬瓶に梅の蕾がするすると

膨らみもせず得意げで甘玉みたいに転がる死と

紋黄蝶の片翅を コバコにつつみこんだ生を


仕立て上がりの御着物の 袖にカサリとする

春のいきものを透す。この冬を越したのだろう


焼酎の中にある苫東たちに未来はありえない

浮いたり沈んだりする神の御業が弾け始める


あゝ少年の悪事は取り逃がして


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