第6話 怪人α(下)

 次の日、A私立探偵事務所にて、暮島は賢助へと昨日の出来事を一言一句逃さず、さながら記憶を移植するかの様に全てを明確に話し明けました。

 「C区域に俺が…憂助と名乗った……それは本当に俺だったのか、暮島君」

 賢助からの問い掛けに、暮島は胸を張り、自信を持って答えました。

 「えぇ、間違いありません。服装は賢助さんと考助さんのお二人とは違いましたが、人相や声色は間違いなく同一のものでした」

 「そ、そうか……」

 賢助は最初、何か悪い冗談でも聞かされているのではないかと考える様にしておりました。それは一体何故かと申しますと、賢助は記憶のどの片隅にも『憂助』という名前を存じていなかったのです。きっと誰か、赤の他人と人違いをしているのではと最初は考えましたが、暮島からの答を聞いた今、その考えは消え去ってしまいました。こうなりますと、残すはあり得るはずの無い可能性… 「日曜の己が憂助と名乗った」と言う可能性のみが賢助の手中に残りました。しかし、この可能性を賢助は一概に「あり得ない」と言い切ることができませんでした。それは何故かと申しますと、賢助は考助から直接、考助の生きている人生ようびについて聞いた事がなかったのです。しかし、それは致し方ないことでありました。何故なら、考助と賢助の二人は名や性格は違えど各々共通した一つの身体しか持ちあわせておらず、この現し世に同時に存在する事ができるのはどちらか一人の人格だけなのですから。もっとも、彼等は置き手紙を通して幾度かコミュニケーションを取ったことはありますが。思い返してみれば、その内に、日曜についてはたったの一度もコミュニケーションを交わしたことが無かったのです。この時、賢助の内にはなんとも言えない冷たく、不気味な…さながら、化けて出た幽霊が身体中からだじゅうを駆け巡る様な、己のドッペルゲンガアと対峙したかの様な…そんな感覚が芽生えました。この感覚の正体は一体何なのでしょう、当の本人である賢助にすらそれを明確に判別することは敵いませんでした。そこで、賢助は暮島から手渡された一通の封筒に視線を向けました。そう、これは考助の書きつづった『題の無い小説』が収められた封筒でありました。賢助は「この封筒の中にきっと、得体の知れない感覚が指し示すものの正体が這入はいっている」と考えたのです。

 つばを飲みながらも封を開け、封筒の中に収められていた複数枚の原稿を取り出した賢助は順を追って『題の無い小説』を読み始めるのでありました。ここで、『題の無い小説』の本文を全て書きつづってはあまりにも際限が無いため、読者の皆様には『題の無い小説』の内、重要である一部の本文を抜粋し、次の様につづり、お見せすることと致しましょう。



…作家と探偵業を営んでいる私は正真正銘の善人であり、それと同時に、常軌を逸した悪人でもある。これは。一種の神経症を患っている私だからこそ起こりえた矛盾と言えるだろう。

 幾つもの許されざる、悪魔の所業が如き罪を犯し、人を辞め、苦しみから逃れるために娯楽と言う名の酒に酔い潰れているが、当の私はその罪を犯したことにすら気づかず…ごらくに酔っていることにすら気がつくこと無く、唯々、偽りの現実をのうのうと生きて居るのだ。とっくの昔にこの現し世を去った家族の死にすら気がつくことなく…



 一時間弱ほど費やしまして考助改め、推理作家、梶晴 泰溫の執筆した『題の無い小説』を読み終えた賢助はさながら、太陽の日が届かない…深い、海の底の様に暗い表情を浮かべておりました。そして、賢助は何かを確かめるかの様に、卓上の黒電話の送話器を手に取り、ダイヤルを回して電話番号を入力し、何処かへと電話を掛けました。しかし、番号が間違ってでもいたのでしょうか…それとも、もう、この電話番号は使われていないのでしょうか…いつまで経てど経てども、その送話器は何処にも繋がることはありませんでした。

 「どうやら…これが真実の様だな………」

 何の音も聞こえぬばかりで、何処へも繋がらなかった送話器をゆっくりと戻し、送話器の無音の返答から何かを悟った賢助は己が表情を隠し、頭を抱える様に机へと突っ伏せてしまいました。ですが、これは無理の無いことでありました。それは何故かと申しますと、賢助の心の内では様々な感情がさながら血肉に飢えた野獣の様に暴れ始め、賢助を形作る全ての根幹と言っても過言では無いほどの重大な地盤がボロボロ、ボロボロ…と崩れ始めていたのですから。宛ら、国家から民がいなくなる様なものでありました。

 「これが真実……これが俺の…考助の探し出した答なのか………」

 物語の中の世界にちりばめられた考助からのメッセージから全てを理解した賢助は、これっぽっちも可笑しくなどないと言うのに、ハハハハッ…と唯々笑みが溢れ出してしまうのでありました。

 「全く、俺の人生の賽子さいころは地獄にでも転がり墜ちてしまったのだろうか…いや、今となってはもはやどうでも良いことか……」

 「何か分かったのですか?賢助さん」

 何も知らぬ暮島からの問い掛けに、机に突っ伏していた賢助はゆっくりと面を上げました。すると、一体全体どうしたと言うのでしょうか。賢助は暮島へと次の様なことを告げたのでありました。

 「あぁ、分かったよ。何もかも…暮島君、君は探偵を辞めるんだ……」

 賢助からの言いつけに暮島は酷く困惑し、動揺しながらもたずねました。

 「どっ、どうして…何故そんなことを言うのですか!?私はもっと賢助さんと一緒に…貴方のような探偵になりたくて探偵の道を選んだと言うのに…っ!」

 涙目になりながらも、必死にたずね掛けてくる暮島に、賢助はまるで「申し訳ない」とでも言わんばかりの表情を浮かべながら次の様に応えました。

 「駄目なんだ、暮島君は……俺みたいな探偵になっては………」

 そうとだけ告げますと、賢助は事務所の玄関を開け、暮島を置いて何処かへと去って行ってしまうのでありました。ここで、えて補足致しますと、この時の賢助は本心でその様なことを告げたのでは無く、相棒である暮島に真実を告げるのが怖くなり、思わずその場から逃げてしまったのです。

 名探偵であろうと、真実は時に抗えぬほどに怖くなるものなのです。




***




 A私立探偵事務所を去った後、賢助は真っすぐC区域に隣り合わせているC森林の奥深くの辺境へと訪れておりました。そこには大きな木造の屋敷がそびえ立っておりました。その屋敷の大半は過去に起きたと見受けられる大規模火災によって炭と化し、骨組みが表へと露出し、とても人の住めるような場所ではなくなっておりました。

 「こ……これは………」

 焼け焦げ、無惨むざんな有様へと変貌へんぼうしてしまっている屋敷へと賢助はまるで幻でも見ているかのでは無いか…と言わんばかりの眼差しを向けておりました。そう、この屋敷は賢助のかつて住んでいた屋敷であったのです。

 一歩一歩、姿が変わり果ててしまった屋敷へと歩み寄って行く度に賢助は不安定で、ユラユラとうごめく…さながら、陽炎かげろうでも見ているかの様に、今までどういう訳か忘れてしまっていた…どうか、忘れたままで居たかった真の過去の記憶を断片的にではありますが思い出し始めました。

 父はとっても賢い人で、何でも聞いたら教えてくれる人…のはずでありましたが、陽炎かげろうの様な記憶には真っ暗で冷たい地下室に放り投げられ、何時間もの間だ監禁する父の姿が映っておりました。

 母はとっても優しいく、決して怒らない人…のはずでありましたが、陽炎かげろうの様な記憶には薄暗い個室で革ベルトで容赦なく叩きつけてくる母の姿が映っておりました。

 賢助の抱いていた誠と対極の記憶の様は、地獄の様に辛く、耐えがたい現実から逃れるため、理想と言う名の材料を糧に作られた偽りの幻だったのでしょう…賢助の内に封じられていた誠の記憶はあまりにも酷く、哀しく、残酷極まりないものでありました。

 「門を潜り…玄関を開け…階段を上がり……いつも俺は家族を避けて、二階の私室に閉じ籠もって、幾冊もの小説を読み漁っていたなぁ………」

 今にも崩壊し始めそうな屋敷の中へと入って行き、賢助は己が屋敷の有様を見納めておりました。すると、そんな最中、賢助は偶然屋敷の地下へと続く扉を見つけました。その扉は賢助には見覚えがありました。父がいつも、子供の頃の賢助を監禁する際にいつも必ずここを通って行き、奥へと潜っていたのです。コツ、コツ…と薄暗い通路を進んで行き突き当たった扉をガチャリ…と開きますと、そこには全てが黒一色で統一された不気味な部屋…そう、あの『黒い部屋』が広がっておりました。

 「この部屋は……?」

 屋敷の地下に広がっている一切の光が届かず、暗闇のみがその部屋を満たす、『黒い部屋』へと賢助は足を踏み入れました。その部屋は酸化した血液の様な色をした赤黒い壁紙が壁一面に張られており、部屋の中央にも、これまた同色の、赤黒い円卓が置かれてありました。暗くてよく見えませんが、部屋の中に置かれた家具や、それらが生み出す雰囲気からまるで『黒い部屋』の中は洋館の一室のようになっておりました。円卓の上には優雅な装飾の施された燭台しょくだいが置かれており、賢助が燐寸マッチほのうを一つずつ灯して行きますと、三本のロウソクが、ユラリユラリ…と淡いほのうの明かりを振り放ちました。そして、唯一の光源であるそのロウソクの明かりが、黒い部屋の隅々すみずみをボンヤリと照らし出しました。淡いほのうによって照らされた『黒い部屋』の壁には鋭利に研がれたナイフと言った様々な刃物が飾られており、棚には人体にとって極めて毒性の高い莫児比涅モルヒネや蛇から抽出した猛毒などの様々な薬品が瓶に詰められ、とても丁寧に、まるでコレクションを並べるかの様に置かれているのでありました。

 「ここは、どうやら彼奴の…怪人αの隠れ家みたいだな。ハハッ…まさに、灯台下暗しと言った所か……どうやら、認めざる負えない様だ…日曜の人格…つまり、俺自身が年来の宿敵…怪人αだったんだ……」

 己の内に眠る別の人格…つまり、憂助があの正体不明の快楽殺人鬼、怪人αであると確信した賢助は「到頭怪人αの正体に辿り着いた」と言う喜びの感情と、「多くの人々の命をこの手で奪ってしまった」と言う恐ろしい感情で心が一杯になり…心の中にうごめく異常な感情でもう、どうにかなってしまいそうでありました。しかし、その時でした、まるでおびえている賢助をなぐさめるかの様に、笑顔で微笑み掛けてくる暮島の姿が賢助の脳裏に次々と、走馬灯の様に浮び上がって来るのでありました。

 「…暮島君………」

 今まで歩んで来た人生、己と言う存在自体が消え去ってしまうかの様な…そんな身震いするほどに恐ろしい恐怖の中で…そんな混沌の最中でも尚、賢助は暮島のことばかりを気に掛けておりました。どうやら、共に暮島と暮らす内、賢助の中で彼女はいつの間にか掛け替えのない相棒へと成り上がっていた様です。

 「暮島君がこのことを知ったらどう思うだろうか…いや、そんなこと疾うに決まっている。俺のことを殺したいほど恨むだろう。そう…今の俺と同じ様に……なんせ、実の親の命を奪ったかたきなんだからな。だから、俺は暮島に恨まれて当然なんだ……仮令たとえそれが、身に覚えの無い罪だとしても………」

 真の現実に圧倒されてしまった賢助は円卓付近にある肘掛け椅子へと崩れ落ちる様に腰掛けました。そして、薄暗い『黒い部屋』の中で賢助はさながら、混沌の様な感情がい回る頭を両手で抱え、両目からボトボト…と流れ落ちる涙が収まるのを唯只管ただひたすらに待ち続けるのでありました。




***




 激流の河の様に6日の時が過ぎ、F喫茶の店主の芝浜は佐々木を連れて、T市場へと訪れておりました。店で出す料理に必要な食材や珈琲を入れるのに必要な様々な種類の珈琲豆、紅茶を入れるのに必要な茶葉等を手分けして調達し、手短に用を済ませた二人はF喫茶からT市場を往復する際に必ず通る、煉瓦造りのL橋の上を雑談を交わしながら歩いておりました。すると、一体どうしたとい言うのでしょう。昨日の雨によって水たまりのできたL橋の上、道端の真ん中に一人のびしょ濡れになり、泥で薄汚れた少女が倒れておりました。

 「あっ…あの人は……っ!?」

 道端に倒れていた、鮮明に見覚えのある服装をした少女へと佐々木は急いで駆け寄って行きました。すると、案の定、その少女は以前に『静寂の呪い』の正体を見事見破ってくれた恩人である暮島でありました。呼吸をし、脈が打っているため死に陥っているというわけでは無いようです。しかし、暮島の体温は異様なまでに低く、医学の知識を持ち合わせていない素人が見ても分かるほどに危険な状態でありました。

 「暮島さん、一体どうしてこんな所に…!?」

 「分かりません…ですが、このままにしておくのは良くありませんね。兎も角一度、私の店へと運びましょう」

 手に持っていた、新鮮な食材等の這入はいった紙袋を佐々木へと渡しますと、芝浜は暮島を背に背負いました。そして、疲れ果てているのでしょう…現し世の声が届かないほどの深い眠りについていた暮島を背に背負った芝浜と佐々木はF喫茶へと急ぎました。




***




 「こっ…ここは………?」

 己が身体がまるで、別の生き物の様に意思に反して身震いするほど寒い場所から、いつの間にか優しい温もりに満ちた場所へ運ばれていることに夢中で気がついた暮島は眠りからふと目を覚ましますと、そこはF喫茶の店内でありました。また、壁に掛けられた時計に目を向けますと指針は9時丁度を示しておりました。N邸宅に住む貿易商、七海 源治郎氏の御令嬢、七海 冬華氏の身柄を拝借…いえ、言葉を選ばずに申しますと誘拐すると怪人αが予告した、犯行予告の3時間前でありました。

 「目を覚ましましたか、暮島さん」

 聞き覚えのある声掛けに暮島は声の掛けられた方へと視線を向けました。すると、そこには心配そうにこちらを見つめる佐々木の姿がありました。

 「佐々木さん…どうやら、私は生き延びてしまったようですね……」

 溜息を吐く様にそう告げた暮島は何故あのような場所で倒れていたのかを語り始めました。

 暮島曰く、人生で初めてできた憧れの存在であり、掛け替えのない目標でもあった賢助に探偵を辞めるように告げられ、再び何もかも…生きる理由の全てを失い、途方に暮れていた暮島はL橋から飛び降り、入水しようとしました。しかし、幸いしたのか災いしたのか、酷い空腹によってか知れませんが橋の を越える前に突発的に意識が遠退き、先程の様に路上へと倒れ込み、深い眠りに墜ちてしまった…とのことでありました。

 怪人αによって家族を失い、全てを失った暮島にとって賢助は生きる目標そのものでありました。そんな人物から突如として「探偵を辞めるんだ」と突き放され、放り出されては傷心した傷の深さは計り知れません。

 「私、何か賢助さんを怒らせてしまう様なことをしてしまったのでしょうか…それとも、あの人のお役に立てず、足手まといになっていたのでしょうか……そもそも、私が探偵になるだなんて馬鹿げた戯言たわごとだったのでしょうか………」

 まるで、この世の終わりを目前にでもしたかの様な沈みきった表情を浮かべ、俯いたまま動かなくなってしまった暮島に、芝浜は優しく微笑みながら答えました。

 「そんなことは、無いと思いますよ。暮島様」

 「どうして…そんなことが言えるのですか……?」

 暮島からの問い掛けに、芝浜は表情を一切揺らがすこと無く答えました。

 「それは勿論、あの方が…賢助様が仰っていたからです」

 「けっ…賢助さんが……っ!?」

 芝浜の口から放たれた賢助という名を聞いた途端、暮島はバッ…と俯いていた顔を勢いよく上げ、目を見開いて驚きました。

 さかのぼること5日前…つまり、賢助が『黒い部屋』を見つけた次の日、F喫茶に風呂敷を手に持った賢助が姿を現していたのです。

 「あの人は…賢助さんは何と言っていましたか?」

 必死になってたずねてくる暮島に、芝浜は店の奥へと行ってしまいました。そして、姿を消したかと思った矢先、芝浜は店の奥から1個の何かが包まれた風呂敷を持参し、近くの卓上へとそれを置きました。

 「これは…一体……」

 突如、持ち出された風呂敷に首を傾げていた暮島へと芝浜は優しく微笑ながら賢助の言っていた言葉をそのまま、申し伝えました。

 「…心配いらないさ。暮島はいつの日か、必ず俺を越える探偵になる…これが、賢助様がおっしゃっていた言葉です」

 芝浜から賢助の言葉を聞いた暮島はドキドキ…と緊張しながらも風呂敷を解き、開いて中に収められている物を確かめました。すると、風呂敷の中には赤茶色のハンチングハットと、同色の二重廻し…そして、それらの上には賢助の腰にいつも携えられていた十手が重石代わりの様に置かれてありました。それらを見て、最初は賢助の探偵服なのではないかと考えましたが、どれも賢助が身に纏うには寸法が小さいのです。まるで、賢助よりも小柄な女性用の探偵服かの様に……この時、暮島は気がつきました。そう、これは賢助から暮島へと宛てた贈り物だったのです。

 「これは…っ!?」

 「何があったのかは私も聞いてはおりませんが、これだけは確かです。賢助様は決して、暮島様のことを足手まといや邪魔者等とは思っていませんよ」

 芝浜の言葉を聞いたその時、真夜中の様に暗く、曇りきっていた暮島の心はさながら、日本晴れの様に晴れ渡りました。

 F喫茶の奥の空き部屋を借りて、探偵服へと着替えた暮島は再び生きる闘志を燃やし、出入り口の扉に手を掛けました。

 「どちらへ行かれるのですか?暮島さん」

 「依頼人の元に行ってきます。だって、私は探偵ですから…っ!」

 いつも通りの暮島へと返り咲き、一安心した芝浜は何かを思い立ったかの様に再び店の奥へと消え行きました。そして、店の奥の厨房から幾つかの料理を詰め込んだ弁当箱を持参し、手渡しました。

 「お気をつけて、暮島様」

 表へと出ますと芝浜と佐々木の二人は後ろ姿が見えなくなるまで暮島を見送りました。

 「ありがとうございました、芝浜さん、佐々木さん…!!!」

 まるで宝石のダイヤモンドの様に輝かんばかりの瞳を浮かべ、元気を取り戻し、活気に満ち溢れた声でそう告げますと、赤茶色のハンチング帽を頭に被り、腰のベルトに賢助から託された十手を携えた暮島はF喫茶を飛びだして行きました。そして、向かい風にたなびく赤茶色の二重廻しを身に纏いながらも暮島は怪人αの現れる、七海邸へと走って行くのでありました。




***




 日曜の11時50分、N邸宅へと辿り着き、芝浜から手渡された弁当を頬張った暮島は締め切ったカーテンをめくり、窓の向こうを視認しました。神様と言うものはどうも気まぐれな様で、天候は晴天から急変して酷い曇りとなり、N邸宅一帯が濃霧に満ち溢れました。これでは、数メートル先を見渡すことも敵いません。

 塀の外の東西南北に3人ずつN邸宅を囲い込むように見張りの警官を配置し、敷地内の庭に10人ほどの巡回者、屋敷内には暮島と篠村刑事、山代刑事を含めて15人の護衛がいます。いくら神出鬼没の怪人αとは言え、この二重三重の関門を突破して七海 冬華の元へと辿り着くなど到底考えられませんでした。しかし、相手はあの怪人αです。どの様な策を講じているのか…当然ではありますが、それが分からないのが唯一の気掛かりでありました。そして、その時です。ゴオォーン、ゴオォーン…と応接室に置かれた振り子時計の12時を知らせる音が静まりかえったN邸宅中に無遠慮なまでに響き渡りました。

 「さぁ、何処だ…っ!!何処から来る、怪人α!!!」

 背後に置かれていた振り子時計が音を発した途端に篠村刑事はソファに座る貿易商の七海 源治郎と七海 冬華を守る様に身構え、辺りを食い入る様に見渡しました。そして、丁度その時、N邸宅内の巡回から戻ってきた山代刑事も同様に辺りを警戒しました。しかし、予告の時間からいつまで経っても怪人αは姿を現しませんでした。

 「どうした…まさか、来ない……のか?」

 カツカツカツ…振り子時計の秒針が時を刻んで行く中、一向に姿を見せない怪人αに篠村刑事は無性に不気味な感覚を覚え始めました。そして、篠村刑事は不意に応接室の出入り口である扉の方へと視線を向けました。すると、応接室の入り口の扉の隙間から何か白い…霧の様なものが這入はいって来ている事に気がつきました。

 「おい、山代…邸宅中の窓には全て錠を掛けたよな?」

 「はい、勿論です。仮令たとえ鼠一匹であろうとこのN邸宅に這入はいり込むことはでき…ま……せん………」

 篠村刑事の問い掛けに答える山代刑事の声は次第にか細くなり、呂律が上手く回らなくなり、全身の力が抜けてしまったかの様にその場に倒れ込んでしまいました。

 「どうしたんだ、山代…大丈夫……か……」

 突如、その場に倒れ込んでしまった山代刑事の元へと篠村刑事は駆け寄りました。しかし、その時です、駆け寄った篠村刑事も山代刑事と同様に呂律が回らなくなり、次第に意識を失い、その場へと倒れ込んでしまいました。そして、篠村刑事に続いてその応接間に居る者…いえ、N邸宅内にいる者全員が意識を失い、まるで何か得体の知れない奇術にでも掛かってしまったかの様にその場へとバタバタバタ…と倒れ込んでしまいました。

 「いっ…一体、何が……… 」

 床へと倒れながらも暮島は何とか意識を保ち、必死に頭を回しながらも周囲を観察しました。すると、いつの間にか、暮島は応接室内に這入はいり込んで来ていた白い霧の様なものが濃くなっていることに気がつきました。

 「こっ、これは…まさか……!?」

 観察の末、暮島は奇術の正体に辿り着くことができました。しかし、時既に遅く、真っ白な濃霧に取り囲まれ、次第に意識が薄らいで行く最中、暮島は七海 冬華へと視線を向けました。すると、七海 冬華の隣にはあの男が立っておりました。顔はガスマスクを着けていたために分かりませんでしたが、彼はあたかも西洋の紳士を気取っているかの様な、漆黒のスーツによく磨かれた革靴、シルクハットを被っておりました。この服装でお分かり頂けた事でしょう。そう、彼は神出鬼没の快楽殺人鬼、怪人αでありました。

 彼は毎度、同じ服装に身を包み犯行現場へと現れるのです。ですが、今回の怪人αには一つ普段と異なる点がございました。それは、怪人αの右手にいつも握られている一把ひとたばの杖の代わりに一人分のガスマスクを持っていたのです。

 怪人αはソファの上にて意識を失ってしまっている七海 冬華を軽々と肩に担ぎ上げました。そして、見事怪人αは予告状通りに七海 源治郎のご令嬢、七海 冬華を優々と誘拐し、濃霧の中へとまるで幽霊の様にフッ…と姿を消し去ってしまいました。そして、怪人αの姿の消失と共に、暮島の意識も到頭途切れてしまいました。

 読者の皆様はどの様に推理されておられるでしょうか。一体どの様な奇術を使って、怪人αは二重三重の関門を突破し、鍵の封鎖されていたはずのN邸宅へと這入はいり込んだのでしょうか。そして、怪人αの右手に持っていたガスマスクは一体何を意味しているのでしょうか…謎が謎を呼び、眼前に立ち塞がる壁は幾重にも増えて行くばかりです。




***




 深い霧に包まれた後、深い眠りへと潜ってしまっていた暮島は屡々しばしばとても近く…耳元辺りから周期的に聞こえてくる、聞き覚えのある呼び声に導かれ、目を覚ましました。

 「おぉ、目を覚ましたか探偵の嬢ちゃん…っ!」

 目を覚ました暮島は頭を手で押さえながらも周囲をキョロキョロ…と見渡し、現況を確認しました。すると、皆の様子を確認した暮島は目をまん丸に見開き、驚いてしまうのでありました。一体暮島は何にそこまで驚いたのかと申しますと、奇怪なことに、自分を含め、無差別に犯行を犯す快楽殺人鬼である怪人αと邂逅した七海家の家人いえびとや見張りをしていた警察の皆が命を奪われること無く生きながらえていたのです。

 「篠村刑事、死傷者は…?」

 念には念をと考えた暮島は目覚めて早々、今回の事件の死傷者について篠村刑事にたずねました。すると、篠村刑事も暮島と同様に嬉しさの反面、何とも言えない気味の悪い感覚を抱きながらも、

 「零だ…皆、怪我一つ無い状態で唯々眠らされていた」

 と、答えました。

 一体怪人αはどうしてしまったというのでしょう。之まで六つの事件を起こしてきましたが全て、例外なく、犯行の目撃者を含めてその場に居る全ての人間の命をほふって参りました。しかし、今回の事件に限ってはどういう訳か誰一人としてほふらず予告通り七海 冬華を連れ攫って言ってしまったのです。

 今回の事件、まるで之までの怪人αではない…心変わりした別人の犯行の様でありました。しかし、暮島が意識を飛ばす前に見た犯人の姿は間違いなく怪人αその者でありました。

 今回の怪人αが犯した犯行、読者の皆様はどうお考えでしょうか。

 事件の裏に何か、隠されたメッセージがある?

 己の美学に飽きた怪人αは今になって美学をじ曲げ、犯行の手口を変えた?

 「怪人α」と言う名を語った全く別人の犯行?

 この様に書きつづっていては際限が無い程に様々な考察を繰り広げて頂けていることでしょう。しかし、ここで大変心残りではありますが、この話題をじっくりと紐解いて参りますのは後の機会とさせて頂きます。何故かと申しますと、その前に、一つ解決しておかなければならない問題があるのです。それは、怪人αが施錠されたはずの邸宅内へと侵入できた所以ゆえん…そして、邸宅内に居た皆が突然バタバタ…と倒れてしまった奇術の仕掛けについてであります。

 「篠村刑事、幾つかおたずねしたい事があるのですがよろしいですか?」

 暮島の捜査に、篠村刑事は「無理だ」と言うこと無くこれでもかと言うほどに快く協力致しました。

 篠村刑事曰く、犯行予告時間の12時前…少なくとも11時30分までは七海邸宅中の窓や扉、その全てに錠が掛けられていたとのことでありました。しかし、犯行後、篠村刑事が目覚めた13時に確認したところ、邸宅内の2階、西側の隅にある物置部屋の窓の錠前が解かれていたとのことでありました。

 それを聞いた暮島は応接室を離れ、篠村刑事と共に二階の物置部屋へと場所を移しました。すると、這入はいってすぐ、ほこりの舞う息苦しい部屋の正面に見える人一人潜れるほどの大きさの窓の硝子ガラスが手荒に割られ、掛けられた錠前が開けられておりました。しかし、物置部屋の様子を見て暮島は一つ気がついた事がありました。それは、割られた窓硝子まどガラスの破片です。最初は怪人αが外部から邸宅内に侵入するため割ったものだと考えましたが、それだと一つ説明のつかない事があるのです。それは、割られた窓硝子まどガラスの破片の散乱している場所でありました。普通、外部から邸宅内へと侵入するために玄能げんのうや其処らの石等で窓硝子まどガラスを割った場合、仮令たとえどの様な割り方をしましても、窓硝子まどガラスの破片は当然の如く、物置の室内の床へと散乱します。しかし、暮島の眼前に広がる現場は違いました。割られた窓硝子まどガラスの破片は物置の室内の床では無く、割られた窓から覗き込んで丁度真下に位置する外周の花壇に敷き詰められた土の上に散乱していたのです。

 読者の皆様には以上の事柄が指し示す意味をお分かり頂けたでありましょうか。そう、物置部屋の窓は外からでは無く、邸宅の中から割られたのです。ここで、皆様に思い出して頂きたいのですが、見事予告状通りに七海 冬華を誘拐し、濃霧の中へとまるで幽霊の様にフッ…と姿を消し去ってしまったあの時、怪人αが手に持っていた物は何だったでしょうか。忘れてしまった場合、読み返して頂ければお分かり頂けるとは思いますが、そうしておりますと少々皆様にお手数が掛かってしまうため、次の文章に答を記す事と致します。

 あの時、怪人αが手に持っていたのは一把ひとたばの杖ではなく…一人分のガスマスクでありました。

 「あのガスマスク…そうか、そう言うことだったのか……」

 試行錯誤の末、一つの結論を導き出した暮島は口元に笑みを浮かべて見せました。そして、暮島は篠村刑事へと手を差し伸べ、次の様に頼むのでありました。

 「篠村刑事、私に手錠を一組、貸して頂けませんか?」

 「ぬぅ……まぁ、いいが…一体何に使うつもりなんだ?」

 顔を渋らせ、十分に考えた末に、一組の手錠を懐中から取り出した篠村刑事からの問い掛けに、暮島は、

 「無論、犯人の逮捕ですよ…!」

 と、笑みを浮かべながら答えますと、暮島は篠村刑事を連れて応接室へと戻りました。そして、暮島はただ、「見ていて下さい」…とだけ告げますと、篠村刑事の元を離れ、窓の外を警戒する様に眺めていた山代刑事の元へと歩み寄り、話しかけました。

 「山代刑事、事件解決のためにお話を伺いたいのですがよろしいですか?」

 「あっ…あぁ、君は探偵君か。まぁ、良いぞ。俺に答えられることなら何でも聞いてくれ…!」

 一つ返事で快く協力を了承してくれた山代刑事に暮島は、次の様に指示をしました。

 「それでは、何も見えない様…両目を固くつむり、両手を前に出して頂けませんか?」

 此れっぽっちも意図が読めませんでした。ですが、協力を了承した手前、引き下がれなくなってしまった山代刑事は暮島からの指示通り、両目を固くつむり、己が両手を前に出しました。

 「まぁ、良いが…一体全体、何をするんだい……?」

 眼前に広がる、まぶたの裏を唯々只管ただただひたすらに見つめていた山代刑事からの問いかけに、暮島は口を紡いだまま、一切の迷い無く山代刑事の手首へパチン…と手錠を掛けました。そう、これこそが暮島からの答だったのです。

 「なっ!何をするんだ、探偵君…っ!?」

 思わず閉じていた目を見開き、酷く動揺しながらも訊ねてきた、山代刑事からの問い掛けに暮島は、

 「何って、決まっているではありませんか。事件解決のためにお話を伺いたいのですよ…怪人αの手下さん」

 と、微笑み混じりに言葉で答えるのでありました。暮島の発言にその場に居る者達は皆、一様に驚き、雷に撃たれたかの様な衝撃を受けました。そして、あまりにも馬鹿げている、警察の組織の身である山代刑事があの快楽殺人鬼、怪人αの手下であると言う一見、支離滅裂な推理に篠村刑事は当然、異議を申し立てました。

 「待ってくれ、探偵の嬢ちゃん。山代は怪人αの予告状を見つけて、俺の元に届けたんだ。そんな奴が怪人αの手下のはずがないだろ?」

 篠村刑事からの問い掛けに、暮島は一切の表情、自信を揺るがせること無く答えました。

 「えぇ、確かに山代刑事は篠村刑事へと怪人αの予告状を届けました。ですが、それは怪人αからの指示だったのでしょう?山代刑事…」

 「………………」

 暮島からの問い掛けに、山代刑事はさながら人間の模型かの様に口を紡ぎ、黙秘を持って答えました。そして、掛けられた手錠へと視線を向けたまま、うつむいてしまった山代刑事の顔つきはみるみる内に精悍せいかんなものへと移り変わってゆきました。

 「黙秘ですか。分かりました、それでしたら代わりに私が全てお話しましょう。

 犯行予告時間の12時前、山代刑事は一人、N邸宅内を巡回していました。その際に山代刑事は人目を盗んで二階の物置部屋へと行き、閉ざされていた窓の錠を開け、外部から侵入した怪人αの仕業であると見せかけるため窓を割った。そして、持ち込んだガスマスクを着け、窓から邸宅内に流れ込んできた霧に紛れて睡眠ガスを充満させた…恐らくこれらは全て、怪人αの指示だったのでしょう……」

 次から次へと、まるで名探偵Aの賢助の様に暮島が推理を披露しておりますと、山代刑事は突如…気が動転でもしてしまったかの様に、ハハハハッ…と大きな笑い声を無遠慮に先程まで紡いでいた口から溢らし、気味の悪い様子で笑い出しました。

 「合格だ、探偵君。君はあの方と…先生と顔を合わせるに値する人間だ」

 「合格?それは一体どういうことですか…?」

 暮島から問い掛けに、怪人αの手下である山代刑事はまるで録音機にでもなってしまったかの様に眈々と、さながら、絡繰からくり人形の様に平然と答えるのでありました。

 「俺は言わば前座、探偵君の知恵を試すための関門の役目を担う者だ」

 そう述べますと、山代刑事は懐中から一通の茶色い封筒を取り出し、それを暮島へと手渡しました。また、不可思議なことに…その茶色い封筒に、暮島は何故か見覚えがあるのでありました。

 「この封筒は……」

 手渡された茶色い封筒を見て、過去の記憶を遡っておりますと、山代刑事は、

 「先生からの贈り物だ。もし、探偵君が我が関門を突破した時、君へ渡すよう命じられていたのだ…」

 と、答えるのでありました。

 「俺はもう役割を終えた…さぁ、何処へなりとも連れて行け……」

 まるで別人の様に、てのひらをがらりと返した山代刑事は最早、清々しいまでに一切抵抗すること無く他の刑事に連れられて外の門前に止めて置いてある警邏者へと連行されて行きました。

 一方、暮島は先程から気になっていた、山代刑事から渡された茶色い封筒を開封し、中に収められていた物を取り出しました。すると、中からは複数枚の紙…いえ、原稿用紙が出てくるのでありました…そう、それは、考助の書きつづった『題の無い小説』でありました。

 「これは……!?」

 飛ばし飛ばしではありますが、『題の無い小説』へと目を通した暮島はこの時…怪人αの思惑の全てを悟り、たった一つの解へと辿り着いたのでありました。それは丑三つ時の夜道の様にとても暗く、一人の心に背負うにはあまりにも悲しい…宛ら、呪いの様な物語でありました。




***




 一方、その頃、怪人αに攫われていた七海 冬華は失っていた意識を取り戻しておりました。すると、そこは、見渡す限り全てが暗く、黒一色に支配された不気味な部屋でありまして…まさしく、『黒い部屋』でありました。また、その部屋には何処か…そう、火山の麓に湧き出る温泉で一度、嗅いだことのあるの匂いが漂い、充満しておりました。

 「こっ、ここは一体……?」

 優雅でありながらも何処か異様な洋の装飾が施された木製の椅子へと腰掛けさせられていた七海 冬華の両腕は背面へと回されており、何かザラザラ…とした麻の様な感触の縄によって固く縛られておりました。また、両脚も腕と同様に、腰掛けていた椅子の前脚に麻縄で固く縛られておりました。目を覚ました七海 冬華は何とかこの場を逃げだそうと身体からだを揺らし、藻掻きました。しかし、案の定、縛られていた縄は解けず、幾ら藻掻こうとも椅子の脚で床をガタガタ…と乱雑に叩くことが関の山でありました。

 「おや、目を覚まされましたか。お嬢さん」

 椅子が床を叩く音に山彦する様に、部屋の隅の深く暗い闇の中から一人の男の声が聞こえてきました。男の声が聞こえて来た途端、七海 冬華は未だかつて体験したことのない、得体の知れない恐怖に戦慄し、ビタッ…と藻掻くのを止めますと、小刻みに震えながら闇の中へと恐る々々視線を向けました。すると、闇の中からヌッ…と一人の洋装を身に纏った、人間の男が姿を現しました。怪人αです。彼はニタニタ…と不敵な笑みを浮かべており、右手には何か、サラサラ…とした砂の様な黒い粉末が納められ、コルクの栓で蓋をされた硝子瓶ガラスびんを持っておりました。一体あれは何でしょうか…『人の命を喰う毒薬』でしょうか、将又はたまたあれは『人を悪魔に変えてしまう魔法の粉末』なのでしょうか、それの正体を気にはなりつつも、怪人α本人に確かめることは七海 冬華にとって敵いことでありました。

 「あっ、貴方は…矢張り、私を殺すのですか。怪人α」

 絶望の淵へと墜ちた七海 冬華からの問いかけに、怪人αは、

 「いえ、そのことならば心配ご無用です。貴方の命は奪いません、もっと他に頼みたいことがあるのですから…どうかご安心下さいお嬢さん……」

 と、ニタニタ…と不敵な笑みを浮かべながら答えるのでありました。しかし………気のせい…なのでありましょうか、怪人αの微笑む表情には、何処か悲しげな様子がチラホラ…と見え隠れしているのです。怪人αは一体何を考えていると言うのでしょう。幾重にも重なる不可思議に、七海 冬華が小首を傾げておりますと、怪人αは右手の硝子瓶ガラスびんへと視線を向けながらも、

 「何せ、この現し世を立つべきは……私自身なのですから………」

 と、口からボソッ…と言葉をこぼすのでありました。

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