第20話 転落
「ひっ、ひぎいぃぃ。んあんっ、あっ」
”感度倍増”を発動させたゴブオに、ジャネットはからだを蹂躙されている。膝の上に乗っかったゴブオは、シャツ越しに二つの乳首をつまんで、にぎにぎ、にぎにぎ。痛くならぬように、労わるように。
「お、おい。なんっ! だ、これはあぁっ!」
もう、ジャネット喋れません。このままではあっさり陥落しそうだから、会話に意識を集中させようと試むけれど、からだがそうさせてくれないのです。ダメになってしまうと、彼女は焦った。表情筋も、ちょっと油断するとすぐにゆるんで、お馬鹿なお顔になってしまう。
「何って、夢の中でも体験したではありませんか」
ゴブオは意地悪くぐへへと笑って、つづけて乳首を責める。刺激によって硬くなったごむをすこしきゅっとする度に、この女は面白いように声を上げる。
「くっ、くそおぉーっ」
ジャネットは呻くように頭を垂れ、背中を丸めた。夢の中で味わった、あの感覚が再び襲って来たのだ。それがいま、彼女の体のなかに集まって集まって、あふれ出ようとしている。
「いやっ、ああっ、んんーっ」
何とか口を閉じて、彼女は波の到達を迎えた。しかし瞳はぼうっとして、からだは震えている。やっぱりだめだとジャネットは思った。今のままではもう一押しもされたら、二度とは脱出出来ない深い沼に落ちてしまう。こいつのたかが指に堕とされてしまう。ジャネットはからだに力が入らくなり、へにょへにょになって、ゴブオを抱きかかえベッドへ仰向けになった。
「どうでしたか、気持ち良かったですか」
とゴブオは揺さぶる。
「そんな訳、あるか」
ジャネットは強情を張るが、その言い方は嘘だと白状しているようなものであった。声音は高く、ゆったりして、絶頂からの解放に安心しているのがわかる。
「それは悔しいですね。結構頑張ったんですが。まあ、夜はこれからです」
ゴブオはシャツを剥がし、乳首と乳房の半分をあらわにした。そうして間髪入れず桃色の乳輪に比べすこし濃い乳首に、しゃぶりつく。
「お、おい。やめろ」
ジャネットは懸命に、ゴブオの頭をどかそうと頭頂部に掌を押し込むが、もはや腕力はなく、ふにゃふにゃである。
「何ですか、もっと強くして欲しいんですか」
乳首を唇で挟み、引っ張る。おっぱいと一緒にのび、みずふうせんみたいだ。でも、人肌にあたたかい。
「くそっ、ちくしょう。俺ともあろう者がこんな奴に吸われただけでっ」
ジャネットの中で、淫らの花が咲きつつある。ゴブオはそれの世話係。えっさほいさと、にやにやしながら頑張っている。
「そこを吸われているんですか? きちんと言って下さい、ほら。ショウさんにばらしてもいいんですか」
乳首を吸い上げながらも、ゴブオはジャネットの顔を見つめた。
「ち、くび」
まるで迷子になった少女が歩き疲れて、泣き始めたかのような調子でジャネットは言った。
それからも、ゴブオは”感度倍増”のスキルを解除したり、発動させたりして刺激に緩急をつけ、ジャネットの乳房を攻撃しつづけた。攻撃は徐々にジャネットのゴブオに対する敵対心や嫌悪感などをやわらげた。そんな自分にジャネットは気付いていたが、気持の変化に抵抗しようとしても無駄であった。打つ手がないのだ。
「気持ちよくなってきましたか」
とゴブオは言って、”感度倍増”のスキルをその舌と両手に発動させた。
「そんなっ、こと、ひいっ、ほあっ!」
ジャネットは再び、大きな波に打たれ、その水面をふわふわ、ただよった。声が勝手に出て、制御できない。からだも意識とは離れたところで震え、びくびくっとなる。
「はあ、はあ」汗をびっしょりかいて、息は乱れ、どうにも仕様がありません。
休憩時間であると暗に主張するが、ゴブオは質問の答えを聞いていないからやめない。今度は舌を這わせながら乳首をちゅうちゅうして、もう片方の乳首の根本をつまみ、くりくり動かす。
「おおっ、ひぎいいぃっ、わ、わかった言うから。気持ちいいっ。気持ちいい!」
支配欲の器に屈服の酒が注がれ出して、ゴブオは一旦ジャネットへの愛撫を中断した。
「やった、やったぞ」
ゴブオは思わずガッツポーズ。そして懐から一つ機械を取り出した。これは小型録音機である。ゲームボイス女から異空間の穴を通じて譲り受けたのだ。ちなみに、「正夢日記」も彼女の物らしい。ゴブオはこの部屋に来てからずっと、この録音機で音声を収録していた。
「なんだこれは」
かちりボタンを押して、ジャネットの卑猥な音声を再生する。ぼんやり半分にしていた目をジャネットは大きくして、録音機を取り上げようとするが、すばしっこく避けられる。
「実はですね。昨夜の音声なんて、録音してなかったんです。夢ですから無理ですよ。ぐふ、騙されちゃいましたね。ジャネットちゃん」
なんと、ちゃん付けで呼ばれてしまった。ジャネットは恥ずかしいやら怒りやらで感情がごちゃ混ぜになった。からだに力が入れば、殺していただろう。生れてこの方、そんな呼ばれ方したことは皆無であった。両親は厳しかったし、誰にもなめられたくないから、人より何倍も鍛錬した。それがどうだ、こんな自分よりずっと小さいやつに良いようにされている。最も嫌悪するのは自分自身である。喜びを、覚えてしまっているのだ。心地良いのだ。
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