第47話 メイドの方が偉そうだ


「帝国軍が攻めてきたって?!」


「ハッ…偵察した者の言うには、王国に向かっているのではないかとの事です」


確かに国単位で壊滅したのだから、国交がある国は動くのが当たり前だ。


連絡がつかなければ偵察位は出すだろう。


だがいきなり攻めてくるか…


「いきなり攻めてくるのか…何故だ」


いや…


「王国への直線状に此処オーガの集落があるからです」


確かに、ここは王国から近い。


王国を目指すなら通過点だ。


「それで大丈夫なのか?」


「大丈夫じゃありません…相手はどう見ても数万…それに対してこちらは百に満たないですから…」


「ああっ、それなら俺がどうにかするよ! 数万か…良い食料になるな」


「女の血は私が頂きますわ…久々に直接飲みたいですわね」」


「偶には新鮮なお肉が食べたい…子供いるかな…」


「まぁ良いんじゃない? 食べ放題、最高だよ!」


勝手に3人が世界から飛び出してきた。


「まさか、邪神様達4人で全員相手にする…そう言う事ですか?」


「いや…戦うのは俺一人かな、まぁ色々手伝っては貰うけど…それより今夜は『食べ放題』の宴を開こうと思う…沢山の肉を持ち帰るから料理の準備をして待っててくれるように言っておいてくれ」


「ハッ族長様にお伝えいたします」


さて、大量に食事がやってくるんだ。


今日のパーティの仕入れの始まりだ。



◆◆◆


醜い…久々に見た人間は醜すぎる。


まるでゾンビ…死霊の群れに見える。


俺は、完全に魔族側になってしまった事が良く解る。


今迄は醜く気持ち悪い…そう思っていたが、積極的に殺したいと思った事は無かった。


だが…今の俺は『食料』として見ている。


多分、何時か俺も『食べる時』が来るかも知れない。


「なんだ、お前、気持ち悪い化け物を連れて、呪いの人形か何かか?」


「残酷に…」


「黒薔薇、怒ることは無いし手出しは必要ない…家畜が吠えて怒る人間は居ないからな」


「瞳様…」


「瞳様」


「確かにそうだ、言えてる。豚がブーブー鳴いていて文句言う人間が居ないのと同じだね」


「馬鹿か? お前等…たかが4人でこの人数相手に勝てると思うのか? 偉そうに、俺の名はランスロ…帝国が誇る英雄が1人…うあがっ」


余裕だな…


「はいはい…そんな脅しは通用しないし聞く耳持たない…全ての人は食料、全員肉にしてやる」



『生物解体』


俺はただそう思い願っただけで肉になっていく。


「うわぁぁぁぁぁ~体が体がばらけていく…助けてくれーーっ」


「うがぁぁぁ、肉が落ちて…なんだよぉぉぉーーー」


「体が、体が維持できない…なんなんだよーーーっ」


「ふふふははははっ、これは解体のスキルから生み出した俺独自のスキル『生物解体』生きた物をそのまま肉に変えるスキルだ…もう終わりだ…この場に居る人間は全て『解体』される」


「凄いですわね…人間が全員バラバラになっていきますわ」


「お肉、お肉ぅ…」


「ただでさえ一生分の食料以上あるのに…しかし凄い…これが邪神の力…戦わずに…相手が勝手に敗北する…」


断末魔の声が聞こえる。


「た、助けてくれーーーっ、体がほずれて行くーーっ助けて」


「助けて、助けて、助けてーーーっ」


それが、凄く心地よい。


人間は只の食料なんだ…あははははっ


そうだよ…それだけだ。


話が出来る、只の化け物…


それだけだ。


時間にして10分満たない時間…それだけで全員が解体されていく。


まるで魚がお刺身になったように…凄いな。


「それじゃ、黒薔薇、黒牡丹…お京回収宜しく」


「畏まりましたわ」


「頼まれた…」


「これ、結構大変だよ…まぁ自分も食べるものだから良いけどね」


これで全員倒した筈だが…


まだ居たのか?



空に大きな竜がいる。


竜はどっちだ? 魔族にとって味方か敵か?


取り敢えず攻撃して見るか。


「炎よ、わが手に…」


「瞳様、あのマークは魔王軍の物ですわ…気に入らないなら攻撃しても良いですわ」


「魔王軍の虫けら…どうでも良い」


「魔王軍は味方だよね? なんで二人はそんな事言うのかな」


まぁ黒薔薇や黒牡丹は魔王達と揉めたから辛辣なのは解るけどな。


◆◆◆


「初めまして邪神様、私は四天王つきのメイドをしておりますエミリーと申します」


本物のメイドさんだ。


綺麗で可愛くて初々しい、なかなかの美少女さんだ。


「メイドさんなんだ、凄く可愛らしくて素敵ですね…」


「いやですわ…私なんか、そんな照れてしまいますよ」


よく考えたら、俺の仲間は『お世話』をする感じのタイプじゃないな。


黒薔薇や黒牡丹はお嬢様、深窓の令嬢タイプ。


京子は、まぁ高校生と魔物の混合体だし、なんとなく良いな。


「そう言えば、黒薔薇や黒牡丹と面識はあるんだっけ?」


「ありますわ、この人はまぁ無礼じゃ無かったので何もしませんでしたわ」


「我関せず…そんな感じだった」


「私はメイドですから、出しゃばったりしませんから、それに私は熱心な『邪教徒』なので邪神様が下賜されたのですから、素晴らしい人形だと思っていましたから、正直『欲しかった』です」


「なかなか見どころがありますわね」


「…そう思う」


「所でエミリーさんは人間の肉を食べたりするの?」


「ええっ、大好物です」


「それなら、今日はオーガ達とパーティする予定だから、堪能して…」


「ええっ、見てましたわ…沢山の人間が一瞬でバラバラになっていくのを見ていました」


「その代り、肉を収納するのを手伝って貰いたいんだ」


「構いませんよ…ほらドラキーナ、手伝いなさい」


「エミリーさん、その方は?」


「四天王のドラキーナさんですよ?ほら役立たずなんですから、回収位手伝って下さいね」


「…はい」



どうしてだろうか?


四天王のドラキーナさんよりメイドのエミリーさんの方が偉そうなのはなんでだろう。














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