第41話 愛でる
「まさか…勇者様として召喚され、人族側の勇者パーティを皆殺しにし、王国を壊滅、その偉業を持って魔王城に向かっている…そう言う事か?」
凄い筋肉だ。
流石族長…みた感じまるで未来から来た殺戮サイボーグみたいだ。
オーガって男の俺から見てもカッコ良いな。
ボディビルダー、肉体派俳優、プロレスラーやボクサーみたいなアスリート…男は皆、そんな感じだ。
逆に女は、綺麗なボディビルダー、女子プロレスラー、細マッチョなアスリートに見える。
しかも、男女が普通に暮らし家庭を築いている。
これが、この目になってから見た『理想の世界』なのかも知れない。
オークもゴブリンも美少女、美女に見えて素晴らしい世界に見えたけど…男女が別々の世界だった。
だが、此処は家族で暮らしている。
本当に前の世界となんら変わりない。
「その通りです。これから魔国に赴き、魔王様に会うつもりです」
「わははははっ、御冗談を、魔王様だなんて、なぁ」
「はい」
一体今の何が可笑しいんだろうか?
「一体なにが可笑しいんだ」
「だって邪神様…あなた神ですよ? 確かに魔王様は我々魔族から見たら偉い方ですが、魔族、神とは比べられません。なんでしたら此処迄迎えが来るように使いを出しますが」
「それは良いですね、お願いして良いですか?」
「はい、頼まれました。邪神瞳様は使いの者が来るまで、何も無い所ですがゆっくりと寛がれてください」
「ありがとう」
俺はお礼を言い、この集落に暫く滞在させて貰う事になった。
◆◆◆
しかし、これはこれでなかなかムズイな。
ゴブリンやオークは雄雌別々に暮らしていたが此処はちゃんと夫婦。
家族で暮らしている。
つまり、人妻がトップレスに腰布一枚で暮らしているんだ。
『一番視線に困る』
最早、どうして良いか解らない。
しかも家族仲良く居るから…
父親や恋人、果ては兄や弟の前で胸を曝け出した女性を見る。
この背徳感が…なんといって良いか…
「そう言えば、邪神様…胸好きなんでしょう? 我々オーガは大きな胸筋が自慢なんですわ…だから自由に触って貰って良いですから」
こんな事言われた。
雄雌関係なく『胸を自由に触れる』
だが小心者の俺には…自分からは触れないな。
◆◆◆
「王国が潰れた以上は、この辺りは魔族の勢力地、人間が狩られる方になりますな」
話によれば、魔国に近づけば近づく程、魔物や魔族は強くなっていくらしい。
そしてオーガ達が住むこの地域は…人間の中では実力者でなければ避けて通る場所なのだとか。
そういう族長の家の傍には首を斬り落とされた人間が吊るされていた。
何でも血抜きをしているのだとか…
近くに割と見た目が良い武器や装備が転がっているから、この吊るされた人間は結構な実力者だったのかも知れない。
尤も、今は吊るされた死体だけどな。
◆◆◆
俺はこの集落で1番大きな家を借り生活をしている。
そして今は夜なのだが…
「あの、瞳様、一緒に寝るという事は、その私は何をすれば宜しいのでしょうか」
「手、口…したほうがよい?」
いや違うから。
ちなみに京子は別の部屋で眠っていて今この部屋に居るのは黒薔薇、黒牡丹…そして俺だけだ。
「そんな事しないで良いよ。腕枕してあげるから、ほら寝よう」
俺がそう2人に言うと2人はベッドに潜り込んできた。
「あの瞳様…あのですね」
「…瞳様」
「ほら…」
俺は横をポンポン叩いた。
何時迄たっても動かない2人を俺は引き寄せ強引に腕枕をして横たわる。
彼女達は人間じゃない人形だ。
性的な事は出来ないし、その機能は無い。
俺は彼女達を愛でる約束をした。
それはあくまで人同士の恋愛ではなく『人形として愛でる』事だ。
何かプレゼントしたかったが既に『全部彼女達』が自由に出来る。
だから…一緒に寝る事で『愛でる』行為の一つを行う事にした。
真っ赤の顔をした黒薔薇と黒牡丹を両手で抱え…眠りにつく事にした。
慌てている彼女達は何時も以上に可愛かった。
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