第14話 あんこは勇者
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【前回までのあらすじ】
AI翻訳機によって話せるようになったあんこ(♂)。
自分の意思を人間に伝えられるけど、人間の言葉は分からない。
猫からの一方通行のコミュニケーションは人間界でどこまで通用するのか?
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あんこは開いていた窓から外へ出て散歩に出かけた。
今日のあんこは「勇者モード」に設定されている。
あんこはたまに散歩に出る。
お腹が空いたら戻ってくるので家族はあまり心配していない。
***
「あんこちゃん、こんにちは。」
近所のおじいちゃんがあんこを見つけて声を掛けてきた。あんこはおじいちゃんと友達だ。
「俺は勇者あんこ。魔導師よ、俺と冒険に出ようじゃないか。」
「あんこちゃん、話せるようになったのかい。大したものだ。冒険に行こう。」
「よし、ついてこい!」
おじいちゃんはあんこの後をついて行った。
***
「あー、あんこじゃん」
小さい方のヤツの友達があんこを見つけた。あんこの顔見知りの小学生だ。
「俺は勇者あんこ。お前を戦士として俺のパーティに入れてやろう。」
「なんか面白そう。」
「よし、ついてこい!」
小さい方のヤツの友達はあんこの後をついて行った。
***
「あー、あんこちゃん。こんにちはー。」
今度は近所のおねえさんがあんこに声を掛けた。あんこの大好きなお姉さんだ。
「俺は勇者あんこ。お前をヒーラーとして俺のパーティに入れてやろう。」
「はーい。」
「よし、ついてこい!」
近所のおねえさんはあんこの後をついて行った。
***
勇者あんこと4人の冒険仲間がそろった。
冒険者パーティの結成だ。
4人の冒険仲間はあんこの後ろをついて行った。
道を歩いているとあんこと敵対するケルベロス(近所の野良猫)が現れた。
「魔導師、出番だ。いけ!」
あんこは魔導師に指示を出した。
「・・・・」
魔導師は何のことだかわからなかった。
「おじいちゃんのことだよ。」
空気の読めない魔導師に戦士が伝えた。
「おー、魔導師はわしかー。ちょっと戦ってくる。」
魔導師が近づくとケルベロスはすぐに逃げて行った。
「よくやったぞ、魔導師!」
あんこは魔導師を褒めた。
「勇者様、ありがとうございます!」
老いた魔導士は勇者に褒められて嬉しそうだ。
***
こんな調子であんこの冒険者パーティは次々と敵を倒していった。
あんこはお腹が空いたので自分の家に向かうことにした。
冒険者パーティのメンバーもあんこについて行った。
家の前にくるとママが玄関から出てきた。
勇者あんこが近所の人達を連れてきたようだ。
ママは4人の冒険仲間に謝りながら「勇者モード」をオフにした。
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