第124話 いろいろ頑張ってみた男

アルバート伯爵領の村の仮設長屋も完成し、

マヨネーズの街に帰還した。


住宅を感謝されたのは勿論だが、特に温泉は村の女性陣から〈肌が潤う〉と評判だった。


「混浴だと不便だろうから、男湯と女湯を分けて作ろうか?」


と提案したら、村の長老の婆さんが断固拒否を示した。


「ワタシの目の黒いうちは混浴しか許さない!」


と、スゴイ熱量だったので、温泉はそのままにして帰って来た。



そして、


マヨネーズの街に戻ると、驚く事になっていた。


アルバート伯爵様が冒険者ギルドのクエスト報酬を寄付したことを気に掛けて、


追加でスタンピードの撃退依頼と依頼達成報告をアルバート伯爵領の冒険者ギルドに申し出て、


成功ポイントが大変な事になった。


いくら小規模といえど、スタンピードの撃退など、複数クランと軍隊であたるものを 一つのパーティーでこなしたモノだからポイントが物凄い、


俺は〈S級〉冒険者に推薦され、

サラは〈A級〉に推薦、ブルーは〈B級〉昇格依頼達成後に依頼を幾つかこなせば〈A級〉に推薦して貰えることになった。


王都のギルドで許可が出るまで約一週間ほど有るので、


ブルー君を連れてマヨネーズの街のスキルショップを訪れ、


〈アイテムボックス レベル1〉×5

〈ターゲット〉

〈ウィンドカッター レベル1〉×5

〈集中〉

〈高速移動 レベル1〉×3


を買ってあげた。


高速移動は〈急に、凄く速く動ける様に成ったらビックリする〉から、馴らす為に3つで止めただけであって、


お小遣いが足りなかった訳では、絶対、絶対、ないんだからねっ!!


ブルーは、


「師匠、僕はいつに成ったら、

このご恩を返し切れるでしょうか?」


と聞いてきたから、


「俺に〈返そう〉と思うな、

ブルーが沢山の人を助けて、〈返したい〉と思って貰える人物になれば、それが一番嬉しい。」


と伝えた。


ブルーは早速冒険者ギルドで〈B級〉昇格依頼を受けるらしいので、マジックハウスを貸して、ポーション類に食糧も渡した。


最後に俺は、


「人を切る覚悟より、誰かを守り抜く覚悟をして敵に向かえ。」


と、師匠っぽい事を言って送りだした。


…早く屋敷に帰って、ベンさんにお小遣い請求をしなければ、ライザさんとアイシャさんが、〈サラちゃんだけいつも一緒でズルい!〉と拗ねるので、


〈帰ったらデートしましょう。〉


と言って出掛けたんだった…


このままでは、デート資金がない。





たまっていた仕事〈主に確認と承認のサイン書き〉を済ませて、休日はデート、


サラが他の婚約者二人に〈一緒にベッドで寝た〉と報告したものだから、


「ズルい!」


と、成りデートの夜は一緒にベッドで寝る事に決まった。


〈勿論、結婚する迄は手は出さない!〉


べ、別にビビってる訳じゃない、


…嘘です。



しかし、ライザさんはベッドで


「私は性奴隷として売られておりました。

そういう覚悟は出来ております。

何より、愛する方なら一刻も早くそうなりたいと願っております。


あんまり待たせると熟れ過ぎて腐ってしまいますよ。」


とキスされた。


「ライザさん…」


と俺が驚いていたら、


「ダーメっ、ライザと呼んでください。」


と言われ、


少し緊張しながら、


「ライザ」と呼ぶと、


「はい、旦那さま。」と答えたので、


「二人の時は俺もユウがいいな…」


と勇気をだして言ってみた。



もうね、そのあとはね…



「ユウ」と呼ばれて、急にお互い照れくさくなって寝ました。


〈ヘタレですいません。〉


しかし、明け方ベッドのなかでお互いに目が合った時に、おはようのキスをした。


中身のオッサンが罪悪感を感じるが、身体の青年は素直に喜びを感じて…反応していた。


ほら、朝だから、朝…



3日後にはアイシャさんとデートかぁ…


俺のハートはもつだろうか?


1人の女性でかなりイッパイイッパイなのに、複数なんて…


プレイボーイとやらの精神構造が解らない。



3日後、アイシャさんとのデートで、


いきなり、


「ズルいです!私だけ呼び捨てじゃないですよ。

付き合い長いのにショックです。」


と膨れてしまったので、


「ゴメンよアイシャ。」


と言って、〈腹をくくり〉頬にキスをしたら、


一日俯いて、あまり喋らなくなってしまった。


〈しまった、やり過ぎたか?〉


と思いながらデートを続けた。


その夜は、アイシャと手を繋いで寝たのだが、



翌朝の食卓、皆の居るなかで、


アイシャが


「私、赤ちゃんが出来たかも?」


と言い出して、俺は盛大にお茶を吹き出す事になった。


サラと、ライザが「どういう事か?」


とアイシャに問うと、


「頬にキスされましたし、一緒のベッドで手を繋いで寝ましたわ。」


…〈そんだけかい!〉みたいな反応の二人を他所に、クネクネしながら嬉しそうなアイシャ。


…ガイルスのオッサン、

お宅では、花嫁修業以前の保健体育の授業も行うべきでしたよ…


はぁ~、ビックリした。

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