2-2 私は諦めない

 さっきも言ったように、私は現状のルートを把握はあくしたい

 ルートを把握はあくするには主人公がだれかを特定するのが一番

 でも私には主人公がだれかを特定する手段がない


 主人公がだれかわからない→ルートがわからない

 ルートがわからない→この先の展開がわからない

 この先の展開がわからない→対策の立てようがない


 ねっ、大問題でしょ


 もちろんもう少し先に進めば、攻略対象者たちの関係がもっと明らかになってきて

 どのルートの可能性が高いかがわかってくるかもしれないけど


 でもいまは、それよりもずっと、ずっと大きな問題がある


 それは「私が学園に入学してる」という事実

 それが「すでにストーリーに影響を与えてしまってる」という現実


 現にオリバーは、ちい兄さまと同室でなくなってる


 もしかしたら「そんな違いはたいしたことじゃない」と思うかもしれない

 ても「バタフライエフェクト」って知ってる?

 ほんのわずかな違いが、やがてすごく大きな違いを生み出す、ってやつね


 もし「オリバーの件」がそれだったら……


 すでに私のゲームの知識が通用しなくなってるのかも

 ゲームの知識は私がこの世界で持つ最大の「チート能力」よ

 もしもそれが役に立たなくなってるとしたら

 もう、この世界のこの後の展開がわからなくなってるのかもしれないのよ


 私はただ「BLをでたい」だけなのに

 どうしてこうなった


 じゃあ、どうする?

 このままストーリーの流れに身をまかせて、何もできない自分の無力さをみしめる?


 いいえ! そんなのは絶対にイヤ


 私はあきらめない

 まだきっと何かやりようがあるはずよ


 そう、見方を変えれば「この後の展開がわからない」とは、「この後はいろいろな可能性がある」ってこと


 私は「わからない」にはふたつあると思ってるの


 ひとつは「結果はもう決まってるけど見えてない」

 もうひとつは「結果はまだ決まってないから、この後のやりようでどうにでもなる」


 コイントスでたとえるわね

 手の甲に落ちたコインを反対の手で隠してる時が前者

 コインが空中にある時が後者ね


 コインが空中にある間なら、やろうと思えば手を出して結果に干渉できるはず

 なんならコインを奪って、表を上に向けて置くのだってね

 まあ、実際はそんなことする人はいないんだけどね。反則だし


 でも「この後の展開」になら、手を出しても反則じゃない

 反則じゃないのなら、やってみる価値は十分にあると思うの


 もちろんうまくいくとは限らない

 うまくいかない可能性の方が高いかも

 いや、はっきり言って失敗する確率の方が高いでしょ


 そりぁ、私だって失敗は恐いし、好きじゃないわ

 でも考えてみて

 これは私の大・大好きなBLに関することなの

 そんじゃそこらの雑多な事柄ことがらとはわけが違うの


 だから私は決めました

 絶対になんとかしてみせるって

 もし私がここで全力をくさなかったら、後々のちのちきっと後悔する

 いつやるの? いまでしょ!


 私の跳ぶべき時はいま

 失敗? それが何だっていうの

 私は私の人生を精いっぱい生きたいの

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