第5話 魔法習得
『えーではまず、魔法について説明させていただきます』
「いえーい!」
異世界転生定番(?)の、魔法タイムである。
『魔法とは、己の内に秘めたる「魔力」を具現化することです。魔法は木火土金水、全5属性に分類されます。魔法の発動には詠唱が必要で、属性によってそれは変わってきます』
「例えばどんなものがあるんですか〜?」
『なぜ敬語?…例えば火ならふぁいやー、水ならうぉーたーです』
「ファイヤーにウォーター。あれ?これって英語だよね?」
『英…。それはなんです?』
「俺の知ってる言葉。俺が普段話してる言葉とは種類が違うんだけどね〜。それくらいならわかるよ。多分だけど、土はアース、金はゴールド?木はウッド?」
『な、なぜそれを…。詠唱について知っていた、というわけではなさそうですね』
「そうだね〜。まあそれは別にいいや。続きをどうぞ」
『は、はい。えっと、詠唱をする際、使用する魔力量を設定します。この際、魔力量によって威力は変わりますが、どのくらいの魔力でどのくらいの威力を出せるのかは、属性によって変わってきます』
「ふむふむ」
『属性にはそれぞれタイプがありまして、木は成長、火は攻撃、土は防御、金は生成、水が生活になります。これは、それぞれの属性がどのような用途で使われるかを表すものです。このうち、木は他属性とは違い、木そのものを成長させるだけの魔法です。そのため、利用方法は自由です』
「あ〜、なるほど。つまり、木以外の魔法はある程度用途が決まっているけど、木は成長させるだけだから、成長させて壁にして防御に使おうが切って資材にしようが自由だと。そういうこと?」
『ええ。タイプによって、必要とする魔力量が違ってきます。同じ魔力1でも、火なら命を一つ奪う分、水は二百ml、木は十センチ、土は十平方センチメートル、金は1立方センチメートルになります』
「なるほど〜。それにしても、火は随分と物騒だね。もしそれを弾かれた場合はどうなるんだ?」
『命を一つ奪える分のエネルギーというだけですから、弾かれれば消滅します』
「そうか。なるほど、ありがとう。じゃあ、早速やってみようかな」
言うが早いか、早速二胡は魔法をぶっ放した。属性は水だ。
ドバーっと水が流れ出し、あっという間に大洪水になる。
「ストップ!キャンセルだ!」
二胡が言った瞬間、水が消え失せた。
『ちょっとご主人さま、魔力量を設定する方法がまだですよ。それにしても、今のはなんですか?魔法を途中でキャンセルなんて、聞いたことがありません』
「そうか?まあいい、魔力の制御はどうやるんだ?」
『普通に頭の中で数字を思い浮かべます』
「そうか」
単純なルールでやりやすかったのか、二胡は魔力を完璧に制御してみせた。
両手いっぱいに水が溜まっている。
その後、空を飛ぶ蚊を相手に火魔法を実験、成功させた。大きさは魔力量関係なく、イメージで操作できるようだ。
金では、
試行錯誤の末シンプルなピアスが完成したが、二胡はピアスの穴がないので、勿体ないが捨てていくことにした。
「へえー、土の壁って結構防御力高いんだね。火で貫けないよ」
『…普通、そんなことないと思うんですけどね』
「あ、そうだ。実験したいことがあったんだ」
『なんですか?』
「日本語で詠唱するんだよ。英語でできるなら、日本語でもできるかもしれないじゃん?魔法発動のトリガーが異世界語なら、より流暢な日本語のほうが威力が高まると思うんだ」
『こっちの言葉を話してくださいよ…』
魔剣がぼやくが、二胡の耳には入らない。早速、詠唱を始める。
「水」
あっという間に水が出現した。先程より、出てくるのが早い。
その後、他の属性でも試したが、問題なく発動することができた。心なしか、威力も高い。
「よし、大丈夫そうだな。日本語ならもっと細かい単語もわかるから、詳細に条件を設定できるかな?」
言いながら、魔法を用意する。
「水球!」
…思ったとおり、丸い水が出現する。そして、宙を浮いていた。
「うん、大丈夫そうだな」
他の単語や属性でも、問題は無いようだった。
「うーん、こうなると新しい魔法も開発したくなるな…。なにかいいものは…うん?」
二胡の目に、先程の実験でお亡くなりになった蚊が目に入った。まだ火だるまになって燃えている。
魔力量は大して気にせず、何気なく呟いた。
「蘇生」
そして、新たな魔法が誕生した。
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