2ターン目 上野(祈祷師)

よくもまぁ、つらつら、と。

武藤は、あの様子だと、ルールとして【祈祷師】が自分を勝ち抜けさせる、というのは盲点だったんだろう。


そして【王】が抜けてしまえば、【祈祷師】は二度と『祈祷』を行えない。


だからこそ、市民と奴隷に名乗り出てもらう必要があった。出来るだけ、良い雰囲気で。


【王】が全員を救おうという考えであれば、自分の勝ち抜けは、当然、後回しにせざるを得ない。

それなら少なくとも『団結』で自らの地位を揺るがす【市民】を、少なくとも1名は抜けさせる必要がある。


しかし、【王】が『ほどこし』をしている2ターン目で【市民】が『団結』を成功させてしまうと。全てが水の泡だ。

そして、そんな事をする【市民】だった2人は、自分達だけ勝ち抜けてしまうだろう。


このゲームは全員が【全員で助かろう】としなければ、【全員生還】は不可能だ。


島尾。あんた、最低だよ。

私が【祈祷師】である以上、大嘘つきな偽物なだけでなく、周りがどんどん疑心暗鬼になっていく。


不安を煽って。でも、止められない。この流れ。

一歩遅かった。

私が【祈祷師】だと明かしたところで、何の確証もない。

確かな事が【武藤は祈祷師】だということ。

ほぼ、確かな事が【花田が神】だということ。


この状況で、私が【王】なら、名乗り出ない。

黙って武藤に施しを与えて、3ターン目に武藤が自身を勝ち抜けさせたとしても、あと1人、枠がある。

運良く『祈祷』されれば勝ち抜けられるし、市民を1名抜けさせてくれれば、残った1人の市民は、『1人では団結出来ない』

奴隷が残っていようと彼らはそのままでは【王】に牙を剥けない。




『あと5分です』

『投函を済ませていない方は速やかに』



島尾の狙いは明らかだ。


「俺を冒涜しろ」


この2ターン目で花田を神殺しすれば、他は全員助かる。


花田がとぼとぼと祭壇に上がりハガキを投函するのを、全員が見つめていた。




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