第12話:閑話:♪♪♪♪魔界の姫☆エレキシュガル・フォン・ラヴィーネ☆16歳♪♪♪♪
自分の姿を絵として記録する魔道具は我が領でも少し高額だが用意することが出来る。実際我が家にもあり、季節の行事や家族が集合した絵を記録していた。
ただこのスマホのように手のひらサイズで個人が自由に使えるかというとそうではなかった。現世の道具には仕組みの分からない便利なものが多いものだ。
この絵を保存する仕組みを『写真の撮影』と呼ぶらしいが、タケシ曰く現世にはこの撮影した写真を世の中に向けて発表し、不特定多数に見せることが出来るのだという。発表された絵や写真、動画などに対して見た側も反応を返すことが出来、交流を行うことが出来る。そういう場所がこの『アウスタ』なのだそうだ。
タケシは私にこの『アウスタ』で私の写真を習慣的に投稿してほしいと言っていた。これは代価としての行為であるから当然行うのだが、私とてエレキシュガル家の当主。人に見られることには慣れているので写真を撮影して投稿することにも否やはない。
ただ勝手は分からない。やり方は教わっているのでまずはやってみる事だろう。
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エレキシュガル・フォン・ラヴィーネ 202X/07/29
【初投稿】
今日世話になっている者共と現世の服を買いに行った。
このアウスタなる場所で写真を投稿しろと言われたのでやることになった。
不慣れ故至らぬ点もあるやもしれないが寛大な心で見守ってほしいと言えとタケシに言われたから伝えておく。
[ニットセーターで画面を無表情に眺める画像]
┗かわいいですね!
┗動画見たよ! かわいいね!
┗むすっとしてて笑える
┗笑顔笑顔(笑)
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笑顔を浮かべろというのかこ奴らは。図々し奴らだ。
しかし笑顔か。この無機質な機械の端末に向かって笑みを浮かべろと言われても難しいものがある。何度か撮影してみたがどうにもぎこちない笑みになってしまう。
「タケシ。どうすればいいんだ?」
分からないことは人に訊く。
「うーん、いきなり自然な笑みっていうのは難しいかもね。とりあえず視線を外してるタイプの写真から始めてみたらいいんじゃない?」
「というと、どういうことだ」
話を聞くと、つまるところ何かをしているところを自動撮影にして収めるということだった。これならある程度自然な顔になるのでそこから始めてみろという。
「同い年くらいの人だと勉強している所を撮影しているのは多いね」
「そんなところを見て何が楽しいのだ?」
「自然な姿とか私生活を覗き見れるのがいいんだって」
ふむ。では領地の者に手紙でも書くか。
「折角だし他の服も着てみたら?」
「同じではつまらないか。そうしてみよう」
「あ、でも初めて会った時のかっこうは止めてね」
何故だ。魔力で纏うから身体に合って動きやすくて良いのに……。
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エレキシュガル・フォン・ラヴィーネ 202X/07/29
【領地の者への手紙】
生活は安定しているから安心してほしい旨を伝える
機械相手に笑みを浮かべるのは難しい故時間が欲しい
[リラックスした表情で手紙を書く画像]
┗かわいい!
┗海外の方ですか?
┗kawaii
┗頭の角はなに?
┗魔界の姫っていう設定だそうですよ
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設定ではなく事実なのだが。
それにしても可愛いか。
可愛いか。
そうか、私は可愛いか……。
なるほど。
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エレキシュガル・フォン・ラヴィーネ 202X/08/03
【今日はカフェでフラペチーノ♪】
カフェ限定のフラペチーノっていうのが飲んでみたくて、
都会の方まで足を延ばしました~☆
奥卵にはカフェがないのはちょっと不便(うるんだ顔)
[容器に入ったフラペチーノから伸びるストローを咥えて><顔をしている画像]
┗今日も可愛いね!
┗自撮りもだいぶ慣れてきたね(笑)
┗今日のコーデもヴニクロなのに全然そう見えなくてオシャレ……
┗無加工で圧倒的顔面
┗はー好き
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