現実超常ドキュメンタリー特派員・事故物件の子ども会

読天文之

第1話投稿映像

ここは現実超常ドキュメンタリー特派員のスタッフルーム、ディレクターの椿つばきが一仕事を終えて椅子の上で背伸びをした時だった。

「椿さん、投稿映像が届きました。」

スタッフ古岩井こいわいがA4サイズの封筒を持ってきた。封筒を受けとると、とても重たかった。

椿が封筒の中を見ると、DVDが一つにビデオが二つ、そして手紙が入っていた。

封筒に書かれていた投稿者の名前は菜野花奈津美なのばななつみ、手紙を一通り読んだ椿はまずテレビデッキにDVDを入れて動画を見た。

手紙によるとDVDには、今から十年前に撮影された、子ども会で開かれたクリスマスパーティーの模様が記録されている。撮影したのは投稿者の父親で、当時八歳の投稿者はこのクリスマスパーティーに参加しており、友だちと楽しんでいた時に恐ろしい物を目撃したという・・・。

椿と古岩井がそれを見たのは、動画の終盤にさしかかった時だった。子どもたちがジングルベルを歌っていた時、突然停電になった。

真っ暗な画面の中でパニックになる子どもたち、カメラを持つ父親も投稿者を落ち着かせている。

そしてしばらくしてカメラが上に振られたとき、子どもたちの中に白く光る不気味な少女の顔が映りこんだ。アァッと叫んで驚く父親、そして停電が戻ると少女の両脇に並ぶように男性と女性がカメラに映りこんだ。顔は不気味に歪み、衣服も髪の毛もボロボロだ。

そして子どもたちはそれを見てパニックになり、流れ込むように部屋から出ていったところで動画は終了していた。

その光景を見ていた椿と古岩井は、思わず息を飲んだ。

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