05:聖姫はスープを鑑定した
お昼になり食事が運ばれてくると、
「おやもうそんな時間か、続きは昼からにしよう」と言って部屋を出て行った。
さてご飯~♪
異世界に来て唯一の楽しみがこれ。
なんせここはお城で、使っている食材が高級なのか、それとも料理人が優秀なのか、やたらとご飯がおいしいのだ。
ただし西洋風の世界なのでご飯ってのは白米って意味じゃないわよ。
本日のメニューは魚の入ったスープらしい。
あっそうだ。折角【鑑定】を教えて貰ったんだもん、レベル上げついでに何の魚か調べてみようっと。
【鑑定】スキルはパッシブ。
ステータスを開く必要はなく、使うぞ~と思えば勝手に鑑定される仕組みだ。
脳裏にピロンと音が鳴ったような気がして、これが『魚のスープ』だと判った。
いや知ってるから。見れば判るじゃん……
ん~どうしようもう一回やっても経験値って増えるのかしら?
まあいいか、食べる以外にすることも無いし、やったれー!
再び脳裏にピロンと、『魚のスープ(微弱な毒入り)』、魚は相変わらず不明のままだけど、ふ~んこのスープ毒入りなんだぁ。
「ハア!?」
「どうかなさいましたか?」
突然大声を上げたから侍女が慌てて声をかけてきた。
「な、なんでもないわ。
魚に大きな骨があって驚いちゃった」
「それは失礼しました。すぐにお取替えいたします」
「ううんそんな迷惑掛けられないわ。
今日はスープはやめておいてパンだけ頂くわね」
「そうですか……」
危ない危ない、危うく気づいたことがバレるとこだったわ。
それにしても毒入りねぇ……
微弱ってのがミソかしら。食べ続ければいずれ毒が溜まって体調を崩すでしょー、そのまま看病のふりして衰弱死ってところかしら?
前例のない二人目、いよいよこの国は私を排除したいみたいね。
それからと言うもの私は口に入るものすべてに対して病的に【鑑定】を繰り返し使用した。しかし毒が仕込まれていたのはスープだけ。
パンを食べつつ物思いにふける。
これを運んできた侍女は、果たして事情を知っているのか?
いいえ違うわ。知っていようが知るまいが、侍女はお城が雇っているんだもの、事情を知っていたと思って行動すべきね。
サロモンの午後の授業を終え、宛がわれた部屋に戻ると早速。
「ステータス」
目の前には最近すっかり見慣れたウィンドウが開いていた。
────────────────────
名前:氷山瑞佳
種族:人族(転移者)
年齢:21
称号:聖姫
HP:40/40(800/800)
MP: -/ -
ST:10/10(200/200)
スキル
料理 B
裁縫 D
神聖魔法 -
光魔法 -
風魔法 練習
水魔法 練習
鑑定 F
生活魔法 練習
野外活動 練習
アビリティ
癒しの小奇跡
天使の慈愛
神の障壁
※※※※※※
※※※※※※
────────────────────
目を引いたのは、練習ばかりのスキルの中で燦然と輝く【鑑定】のF!
ここから出る頃には、いったいいくつになってるのかしらね……
まあ【鑑定】はこの際いいわ。それよりも魔法よ。
こんな異世界で生きぬくにはきっとこれが生命線になってくるだろう。
MPが『-』なのが気になるのだけど、【生活魔法】は問題なく発動するので私のMPが0と言う訳ではないようだ。
次は同じくスキルレベルが『-』の【神聖魔法】を確認した。ステータス画面から一覧が別ウインドウで開き、ずざざーっと三十個ほど並んだ。
名前から始まり詠唱方法と効果、そして持続時間などなど。
うんとても覚えれきれないわ……
適当にピックアップして数個だけでも名前を覚えようとすると、思い浮かべた瞬間に頭の中に呪文の効果や使い方まで入ってきた。
あぁ良かった~
同じ要領で【光魔法】も覚えておいた。
なお神聖魔法は回復と精神などに関係する内容が多かった、例えば悪意を知ったり、嘘を発見する呪文もここに入っていた。
光魔法は浄化がメインだが、敵への攻撃にも使えるようだ。
続いてアビリティ。
────────────────────
『癒しの小奇跡』(パッシブ)
自身及びパーティーメンバーのHPとMPとSTを10/s回復する。
『天使の慈愛』(パッシブ)
状態異常に耐性(小)
精神攻撃に耐性(小)
属性攻撃に耐性(小)
物理攻撃に耐性(小)
『神の障壁』(アクティブ)
悪意のある攻撃を2回まで自動で防ぐ
効果時間:-
再使用時間:1s
────────────────────
なにこれすっご!!
何気に『状態異常』に少しだけ耐性があるのがいいわね。ただし微弱な毒にこれがどれだけ効果があるかは不明だけどさ。
あーでも待って。
しばらくは【神聖魔法】の【
他には何か無いだろうかと、ステータス画面を適当に確認してみると……
なんと種族の欄で、それぞれの内容を確認が出来た。
────────────────────
『人族』
人間族
『転移者』
言語理解
不老
収納ボックス
────────────────────
と出てきた。
【不老】って……、もしかして元の世界に戻った時に、姿に違和感がないようにという配慮なのだろうか?
あと【収納ボックス】というのが引っかかり、さらに確認してみる。
────────────────────
『収納ボックス』(アクティブ)
生物を除き収納可能
収納可能量はMPの総量に依存する
内部の時間は停止する
────────────────────
なにやら頭の中にウィンドウが現れて、そこに物を自由に出し入れできるみたいだ。
私のMPは『-』なのだけど……
試しにやった部屋のベッドも難なく入るようなので、もしかして
最後にすっかりと忘れていた称号を確認してみる。
────────────────────
『
聖女の最上位称号
HP減少による死亡は発生しない(行動は不能となる)
全ての行為でMPを消費しない
【神聖魔法】の効果200%上昇
【光魔法】の効果200%上昇
自身及びパーティーメンバーの能力全てを100%上昇
自身及びパーティーメンバーの聖女の能力全てをさらに100%上昇
────────────────────
MPが『-』の意味がやっと理解できたわ。
そして自分の存在。毒を盛られる前だったら話しただろうけど、絶対に教えてやるもんかっ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます